第20話 暗闇と見えない敵
25階層へと続く階段を降りながら
ふと考えると10階層以降はどうも階層の環境がかなり厳しくなった様に感じる。
とても普通の人ではクリア出来ないような。
雷なんてあからさまにこちらを狙い撃ちしていた。
おそらくダンジョンの意思というのがあるのだろう。
侵入者たる自分を試すようなそれとも、阻むようなそんな意思が。
砂漠地帯で『乾燥無効』『暑さ無効』
湿地帯ではスキルこそ得る事はなかったが
氷雪地帯では『極寒吸収』を得て
21階層からは環境への対処は当然になり、その階層の猛者は10階層帯とは比較にもならないくらい強力な魔物となった。
もっと気配を消し、察知し、すぐさま適応しないと生き残れない。
見つかる前に仕留めるを徹底する。
そんな事を考えていると25階層へと到着した。
25階層へと続く扉を開けると
視界が真っ暗で何も見えない。天眼に頼っていた全ての情報が遮断される。
床も壁も全て等しく見えず、魔物が居るのかも分からない。
不動はいきなり視覚情報が奪われた事に困惑する。
(ここで来たか。正直視覚に頼りすぎていたからな。魔力察知も気配察知も出来ない。感知能力が著しく低いのは自分でも分かっていた。)
かなり神経を鋭敏にし、少しずつ前へと進む。
何かが来た気がするが、どうする事も出来ない。
(人型の魔物か?この環境への適応度は相手の方が上だ。じゃあどうすればいい。この暗闇で感知が出来るとしたら視覚と味覚以外の五感。プラスして魔力での感知だが、まずは音だろう。身体強化のように聴覚を魔力で強化する。その為には、体全体に流れる魔力を均一の状態から耳への供給割合を多めにしよう。)
不動は持ち前の魔力操作で耳へと魔力を多く割り当てる。
すると、少しずつ足が床に擦れる音が聞こえ、生物の呼吸音、心拍、筋肉の動く音、骨の軋む音も聞こえる様になってきた。
普段聞こえない音にまだ慣れないが、少しずつ自分の体の音と照らし合わせ、何の音なのか把握していく。
まだまだ、足音は遠く、相手も慎重になっているのか進む速度はかなり遅い気がする。まだ時間はある。
次は、触覚を強化する。耳への魔力割合を減らし、皮膚の神経系への強化を試みる。やることは同じ。
魔力の割合を多くすると、空気振動の皮膚に当たる感触が強くなる。
そして気がついたのは魔力を自身の体に纏わせ、その魔力の範囲を薄く伸ばしていく感覚で、その距離を拡大していく。
距離を伸ばすにはかなりの魔力操作の技術がいるが、かなりコツを掴んだ。
それにより、敵の姿が鮮明に感じる事ができた。どんどん索敵範囲を伸ばしていく。
一番近い先程の気配は人型の魔物。しかも、角や鋭利な爪、牙が生えている。
身長は2メートルはあるかもしれない。かなり筋肉質な体をしている。
その後にその仲間の集団の気配を感じた。恐らく前の魔物は先兵だろう。後ろに行くにつれて存在感が強くなるのを感じる。
そろそろ先兵とかち合うので、息を殺し、感知に集中する。
慣れない暗闇での戦闘だ。どんなミスをするか分からない。刀を手にし、先手を仕掛ける。
刀に魔力を纏わせ、飛斬で首を狙うが避けられた。
この環境への適応はあちらに分がある。上手く対処され、次の一手を考える。
(多分、こちらの気配がダダ漏れなんだろうな。どうすればいい…。
気配を消すか。それより気配を偽れば騙されないか?試すか…。おそらく相手もこちらの動きを魔力で感知している。それを偽るとなると…。)
自分の体の表面へと出ている魔力を内側に押し込む感覚で魔力の気配を消し、手のひらから人型に形成した魔力の塊を別の場所へと置く。
敵は魔力の塊へと意識を向けるはずだ。
がこちらも魔力での索敵は出来ない。さきほど気配があった場所に持ち前の身体能力で袈裟斬りをする。
『ぐわぇオオおおお』
魔物の叫び声が聞こえ、手に伝わったのは魔物の胴体をぶった斬った感触。良い感じに殺れた。
次は、気配は消さず、敢えて正面突破をしてみよう。
魔力感知を拡げ、集団を感知する。かなり感知技術が上がってきた。
今なら無意識に出来るだろう。身体強化にも魔力を振る。
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【通常スキル】
『魔力感知』スキルを取得しました。
【通常スキル】
『気配感知』スキルを取得しました。
【通常スキル】
『気配遮断』スキルを取得しました。
【通常スキル】
『気配隠蔽』スキルを取得しました。
ーーーー条件をクリアしました。
『魔力感知』と『気配感知』スキルを統合し
【ユニークスキル】
『
『気配遮断』と『気配隠蔽』スキルを統合し
【ユニークスキル】
『
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普通のスキルが条件付きでユニークスキルへと変わることもあるのか。ユニークスキルの上のスキルはあるのか?ったくこういう時に前世の記憶が役に立たねぇとは仕方無いとはいえ少し歯痒いな。
まぁでもおかげさまで、かなり気配の操作はスムーズに出来るようになった。集団だろうが朝飯前ってもんよ。
不動は集団への攻撃を開始した。
魔力感知でステータス以外の全ての情報を気配で得られるようになっていた。
こいつらは俺よりも弱い。暗闇への適応度も今や俺の方が上。さっさと殺るか。
その集団は数にして百体ほど。視覚に頼らず倒す事は常人には不可能に思える。
むしろ平常時で百体という数を相手に出来る人間も居るのかも分からない。
慣れた手つきで次々と首を斬り落とす。
10分程で全ての敵を始末した。
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『レベルアップしました。現在のレベルは72です。』
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「光があれば天眼で確認出来るのにな。まぁ姿形的には何か鬼っぽいしオーガ的な奴だろ多分。」
そんな感想を述べていると下の階層へと続く階段の気配を感じた。
階段へと進むといつもなら階層ボスが居るはずだが、確認できない。
「さっきボスも雑魚と一緒に殺っちまったか?弱すぎて気づかなかったわ。」
いつの間にか倒していた階層ボスの事はすぐに忘れて階段を降りて行く。
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【
種族:人間
ランキング:1
存在格:S[72]
状態:健康
HP:6300/6300 MP:5600/5600
物攻:2300(身体強化時3450)
防御:2150(身体強化時3225)
魔攻:2150
魔防:2260
敏捷:2500(身体強化時3750.雷化時8000)
幸運:85
【状態異常耐性スキル】
『
【魔法耐性スキル】
『雷属性魔法無効』
【環境耐性スキル】
『乾燥無効』[上位]
『焦熱吸収』[最上位]
『極寒吸収』[最上位]
『雷無効』 [上位]
【ユニークスキル】
『
『
『
『
『
『
『
『
『
【大罪残痕スキル】
『
【魔法】
『水属性魔法 [絶級]』
『氷雪属性魔法[絶級]』
『無属性魔法 [絶級]』
『風属性魔法 [絶級]』
『火炎属性魔法[絶級]』
『雷属性魔法 [絶級]』
【武技】
『鬼剣』[S級]
『属性剣』[B級]
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『
・魔力を含む気配や存在感を完全に消す。
相手の視界にも映らず、音すら消えてしまう。
見破れるのは一部のスキルか存在格の上の者だけ。
『
・どんな小さな気配すら感じ、見破り、見えない敵も看破できる。相手の嘘も見破る。
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