第18話 23階層は溶岩地帯

 鶏肉を部位に分けて、岩で簡単な鍋を作った。その全てを無限収納に入れ、向かうは23階層。

 

 降りた途端に、全身からブワッと汗が吹き出す。摂氏何度だろうか。


『暑さ無効』スキルの対応範囲を超えている。


 何とか地獄の様な暑さに対応する為、魔法で水分補給を図り、適応しようとする。


 あまりの暑さに魔法で作った水の塊はすぐに蒸発していく。


 そこら中に溶岩が噴き出て、川のようになっている。

 紅く、そして少し冷えた箇所が黒く焦げている。

 

 状況としては、かなりまずい。


 極寒地帯と同じく環境への適応が試されているのかもしれない。


 地球上でこれ程に暑い場所はそれこそ噴火口くらいだろうか。


 いやそれ以上に暑いな。

 

 ヘトヘトになりながら、少し歩いていると

この過酷な環境に適応した魔物が居た。


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灼熱大鬼クリムゾンオーガ

存在格:A[61]

状態:健康

HP:2200/2200 MP:1600/1600

物攻:1350

防御:1350

魔攻:600

魔防:600

敏捷:800

幸運:0


【環境耐性スキル】

『焦熱吸収』[最上位]


【魔法耐性スキル】

『火炎属性無効』


【魔法】

『火炎属性魔法』[上級]

『無属性魔法』[上級]


【武技】

『火拳』[A級]


【通常スキル】

『身体自動回復』[上級]

『魔力回復』[中級]


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 何とも脳筋かと思う見た目とは裏腹に

魔法、物理、耐性共に高レベルな魔物だな。


 『焦熱吸収』スキルの原理は何だ。

早くそのスキルが欲しい。


 『天眼』スキルでよく目を凝らし観察をする。魔力の流れ的に、これも極寒地帯の時と同じように魔力でサーモバリアを張っているような感じだな。


 そして、暑さを遮断した上で、魔力のみを抽出し自分の魔力と同化することで吸収している。


 恐らく『暑さ無効』スキルをさらに強化したスキルと言えるだろう。

 

 生物の本能的な、ある意味知恵の様な。

恐らく生まれた時からダンジョンによって刻み込まれた遺伝子が超ハードな環境に適応しよう最善策としてサーモバリアという結論に至ったのだろうな。


 不動も魔力で分厚い層を何枚も作り、その層の間へ空気の層も作る。


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『暑さ無効』スキルが

【環境耐性スキル】

『焦熱吸収』へ進化しました。


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 「これで焦らず、攻略が出来るな。レベル上げしに魔物狩りでもしますか。」


 不動はそのまま灼熱大鬼へと斬りかかる。


 氷雪属性を刀へと付与し、大鬼の火拳を

避けて、右腕を斬り落とす。


 痛みに悶える大鬼の腕が音を立てて急速に再生する。


 完治まで一秒ほどとかなり早い。


 魔力の消費が激しいようで、連続では回復できない様だ。


 再度、刀で斬りかかり、右足を切り裂き、

1秒以内に目、腕、左足を斬り落とす。


 しかし、瞬間的にまた部位が再生する。


「くそがっ!!また回復してやがる。」


 斬り落とした部位がまた回復し、今度は

反撃とばかりに、大鬼が火炎属性魔法で

攻撃を仕掛ける。


 大鬼の掌で作られた火炎が見る見ると大きくなり、火の粉が踊る様に舞う。


 火の大玉に纏わりつく様に火の粉が踊り、

大きな破裂音がした瞬間、不動の元へ

高速で発射された。


 来るのを読んでいた不動は、予め距離を取り、刀に氷雪属性の魔力を適度に込めて、準備をしていた。

 難なく火の大玉を真っ二つに斬る。

 

 驚く大鬼だが、醜く顔を歪ませ、無属性魔法の身体強化で全身へと魔力を纏い、フィジカルで不動を圧倒せんとする。


 「身体強化ねぇ…なるほど。こんな感じだろ。」


 不動の体を大鬼とは比べ物にならない程の魔力が駆け巡る。


 黒い魔力が全身を迸り、まるで黒い稲妻を発している様だ。


 「次は俺の番な。回復されるのもめんどくせぇから細切れにさせてもらうわ。」


 刹那、時間にして0.001秒以下の世界。


 身体強化を得た不動は、音を置き去りにする。


 さも、瞬間移動した様に見えるその動きは

今までの動きとは一切合切が異なる。


 過去の己が無力で幼稚であるかの様に

感じる程の動き。


 その神速とも呼べる動きで大鬼を一瞬で細切れに裂く。


 刀の峰を肩に置く。


「あー、そういやぁ。一番得意な魔法が身体強化だったわ。思い出させてくれてありがとさん。」


 圧倒的な力の差で大鬼を殺し、次の獲物を探す。

そこからは灼熱大鬼の集団と出くわし、斬り殺す。


 ファイヤーバードなる不死鳥擬きとも戦闘し、出会い頭に飛斬で首を斬り落とす。


 溶岩でできた体の魔法使い

溶岩魔術師マグマウィッチは火炎属性魔法で攻撃してきたので、そっくりそのまま模倣し相殺した。


 他にも様々な火炎属性魔法で攻撃を仕掛けてきたので全てを模倣し相殺してやった。


 もはや弾切れなのかネタ切れなのか

血相変えて背走し始めたので氷雪属性の飛斬で

三枚に下ろした。


 下ろされた死体はカチカチに凍りつき、溶岩へと滑り落ちていった。もったいない。


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『レベルアップしました。現在のレベルは70です。存在格がAランクからSへと昇格しました。』


【魔法】

『火炎属性魔法』を取得しました。

※ 『神魔操聖シンマソウセイ』スキルの恩恵により、取得した魔法の階級が全て【絶級】からとなります。

既に取得している魔法も【絶級】へと昇格されます。


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 こうして、23階層の攻略は無事終わり、溶岩で鶏肉を調理し、食事と休息を取った。




記憶解析度30%...





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