第17話 22階層の攻略と初のユニークスキル持ち

 22階層は、またも砂漠地帯であった。


 しかし、21階層が黄色の砂地であったのに対して、22階層は赤の砂地であった。


奇妙なほどに魔物がいない。


 上層の砂漠地帯では必ずリザードや虫系の魔物がいたが視界に映る範囲ではカケラもいない。


 今回は警戒心をMAXまで高めていこうと意識した。しばらく歩いていると地面には大きな影が出来た。


 「…なんだあのデカさは………‼︎」


 全長10メートルはあろうかと言う鷹が飛んでいる。


「なるほどな。この階層の頂点捕食者というわけか。」


 ここに至るまでの道で魔物が一体も居ない理由であろうその大きな鷹を

天眼で観察する。


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空王くうおうバラン】

存在格:A[68]

状態:健康

HP:4500/4500 MP:1200/1200

物攻:1070

防御:1020

魔攻:600

魔防:600

敏捷:2100

幸運:40


【環境耐性スキル】

『乾燥無効』

『暑さ無効』


【魔法】

『風属性魔法』[上級]


【通常スキル】

『剛嘴』


【ユニークスキル】

『空域支配』

『王の威圧』


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 不動の闘いにおいて初めてのユニークスキル持ちの魔物。


 大罪スキルというチート級スキル持ちを除いて、個の魔物では強者となるだろう。


 「ユニークスキル持ちか。初めてだな。まずは覗かせて貰うぞ。」



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※天眼スキルにより解析。


【空域支配】

・空中戦において無類の強さを誇る。自身が空中に存在する限り、各種攻撃力、敏捷に大幅な上昇補正がかかる。更に、敵が鳥類魔物の場合、戦闘時に全ステータスに少しの下降補正がかかる。


【王の威圧】

・王種のみが発する事の出来る覇気を使用することができる。

その覇気は存在格の下層生物に大幅な下降補正がかかる。


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「け、結構良いスキルじゃねぇか。特に王の威圧とか何か格好良いし。」


 天眼でスキルを覗いたのがバレたのか、はたまた鳥の視力は良いと聞くがそのせなのか。

 かなりの距離があったが、こちらに気づいた。

 

 空域支配スキルでかなりの速度で飛行してくる様はまるでジェット機。


 不動のいる場所の上空で見下ろす空王は、ヒエラルキーの頂点にも関わらず少しの油断もない。


 それは頂点捕食者ゆえに、獅子の如くどんな生物にも全力を尽くし王者の貫禄を見せる為のものなのか。


 それとも、不動という未知の恐怖に対する畏れ故なのか。


「くかか‼︎それッかかってこいよ空王‼︎今日の飯の菜にしてやるよ。」


 指でクイっと空王に向かって挑発をすると

王者の誇りに傷がついたのかすぐさま風属性魔法で攻撃する。


 風属性上級魔法「トルネード」。

大きな竜巻を生む、ただそれだけの魔法だが大自然の災害の一つとして数えられるトルネードを作り出す。


 巻き込まれれば大怪我、下手したら無惨に死ぬ未来が簡単に予想される力。


 そんな通常では人間が太刀打ちできるはずの無い力に抗う為、一瞬で同じ魔法を作り出し、ぶつけ相殺させてしまう。


 見ただけで真似が出来る闘いの才能。戦闘に生活をかけ、一生を懸ける生物にとって苛烈に嫉妬せざるを得ない能力。


「ほら、これで相殺。そんなもんか唐揚げくん。もっと俺を楽しませろ。」


激昂。


圧倒的に激昂。


 王者としてこの矮小な生き物に鉄槌を下さないと気が治まらない。 


 次の攻撃手段を思考し、行動に出た瞬間。


「わりぃな。もう終わりだ。思いついちゃったからさ。試すわ。」


「絶命しろ。『風属性絶級魔法。死屍累々風夜曲しかばねとかぜのセレナーデ』」


 不動が思いつきで魔法を放つと、空王の体は力を失い、地面へと墜落する。


 体のどこにも傷が無く、空王も何をされたのか思いもつかない。


 ただそこに一つの屍が出来上がっただけだった。


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『レベルアップしました。現在のレベルは69です。』


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「中々に面白い魔法が出来たな。」


 不動が放った魔法の本質は空気の操作と支配。 


 酸素というのは生きとし生けるもの全てに必要な分子である。 


 酸素分子を魔法で操作し支配し消滅させる。

それを鷹の体内にある全ての細胞から消滅させた。


 酸素を失った鷹は即死。


 見た目は綺麗な鶏肉の出来上がり。


 この魔法、絶対不可避に見えるが、相手の魔力抵抗力が高かったり、魔力量で押し返されたり、操作力が高い場合、支配権が奪われる為、格上には通じない魔法でもある。


「今日は鳥料理三昧だな。つっても油はないから鶏油でも作るしかないか。てか鍋もないじゃねぇか。しゃあねぇ。石でも加工するか。」


 こうして、22階層の頂点は鳥料理へと変貌を遂げたのであった。



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