第15話 智恵の神聖騎士と絶級魔法
(チンタラ一匹ずつ倒してもキリがねぇ。
今使える武技ではどうしようも出来ねぇな。
広範囲の魔法なら殲滅出来そうだが、生憎まだまだ初級魔法。思い出せ…。)
集中し考える事5秒。
体内時計ではあまりの集中力にその数百倍に体感している。
風景が止まっているかの様に見える程の集中力に、脳が生命危機だと判断する。
数🟰強敵と判断した脳は、更にものすごい速度で思考を加速させ、前世の記憶を呼び起こした。
(そうだった。魔法とは、想像を実現させる理だ。魔力操作と前世の経験を合わせる。
今必要なのは一撃突破型ではなく広範囲殲滅型。極寒地獄の様な圧倒的冷気。
前世で見たじゃねぇか。『知恵』の神聖騎士マクスウェル。奴の魔法の数々を。この体なら少しは再現出来るはず。)
【知恵】の神聖騎士『カート・マーベル・マクスウェル』
・七つの元徳スキルの一つ、『知恵』の保持者。
聖皇国の第二神聖騎士団の団長であり、その知恵は、聖皇国の魔法技術を100年は進めたと言われている。
『知恵』スキルは魔力効率と事象再現力を大幅に高める能力を持つ。
自身が見た事象を魔法でほぼ完璧に再現する事ができるらしい。
(奴の魔力操作と魔法技術は完璧だった。奴の全てを模倣しろ。)
その瞬間、爆発的な魔力の波動が体から発した。徐々に体へ巻き付き、グルグルと体中を巡る。
(もっとだ!!奴はもっと速く、もっと強く、もっと正確で、もっと繊細だった!!)
魔力の波動に蝗は気づいた。
獲物の気配に、その苛烈な食欲の赴くままに不動を標的と定めて。
(出来た!!)
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【ユニークスキル】
『
を取得しました。
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不動の体から魔力の幻炎が立ち昇る。
ゆらゆらと陽炎の様に揺らめくとスゥッと消え去る。
次の瞬間に、巨大な魔力が不動の右手に収束し、魔法を放つ。
「砕け散れ。『氷雪属性絶級魔法、
地獄の強者も凍てつく極寒の冷気が10万を超える蝗全てを凍りつかせ、粉々に砕いた。
砕かれ小さき破片となった蝗はまるで雨粒の様に砂漠へと降り注ぎ、莫大な経験値となった。
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『氷雪属性魔法』が[初級]から[絶級]へと進化しました。
『レベルアップしました。現在のレベルは65です。』
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魔力の底をついた不動は、その日は21階層で休憩を取る事にした。
先ほど取得したスキルも確認した。
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※天眼スキルにより解析。
『
•魔法の理を知った者だけが魔法の更なる深淵を覗けるだろう。
魔法操作、魔法制御、魔法威力、魔法創作に大幅な補正がかかる。
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周辺には魔物はいない。先程の滅殺蝗が喰らい尽くしたのだろう。
ダンジョン内では、一定の期間は魔物が復活することがないのか、この際に確認してみようと思う。
1時間が経過した。
この1時間内では魔物が復活することはなかった。
不動は魔力の回復に努め、魔力回復の効率化を実施した。
空気中に存在する魔力は自然にある分、純粋すぎて人体には合わないようだ。
人体に巡る時に、魔力が血液に混ざり合い、体内を循環させることで、細胞一つ一つに魔力を浸透させる。
細胞と魔力が結合し、魔法を使う事で細胞から魔力が使われ、外気へと排出される。
この時に排出された魔力をマナと呼び、自然の魔力も同義である。
これも全てマーベルの受け売りだが……。
効率的に魔力を回復させようとすると、まずはマナを体内へと吸収することが大事で、まず吸収率を上げる。
そのためには、呼吸が大事である。
不動は大きく息を吸う、この時に吸ったマナを圧縮するように心がける。
吸った空気と圧縮したマナを肺へと入れ、体内へと循環させる。
爆発的に体内のマナが濃くなり、心臓を介して、全身の細胞へと行き渡る。
この時に自分の気とマナを混ぜることで人体へ害となるマナを魔力へと変換させる。
変換させた魔力は魔力庫となる丹田と細胞へと貯蔵される。
細胞で貯めきれないオーバーフローした魔力が丹田へと貯蔵されるようだ。
吸収効率を最大限まで上げた後は、変換効率と貯蔵効率である。
変換効率はマナをエネルギー源である魔力へと変換させる上で、心臓つまりは魔力変換炉の働きを高めることにある。
ただ単に心臓の脈動を速くする訳ではなく、心臓内で己の気を高速回転させ、マナへの混合を促す。
これはイメージ力を高めることで脳の働きから脊髄反射の領域へと組み込む事で変換効率化は最大化される。
貯蔵効率は、オーバーフローした魔力を丹田へと移送する上で、魔力操作力を高める事で貯蔵速度を高めることができる。
これも無意識下へと落とし込むレベルまで魔力操作を繰り返す。
この変換効率、貯蔵効率は反復する事で高めていくことが出来る。
この鍛錬方法を『集気鍛錬法』と呼び、魔力吸収を『集気法』と呼ぶらしい。
カートからの受け売りだが、戦闘において魔力回復は必須なので最大レベルまでこの際なので高める事にした。
不動の休憩はまだまだ続く。
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