第14話 魔物を喰らう集団

 討伐報酬を受け取った不動は21階層へと進んだ。


 21階層は砂漠地帯であり、耐乾燥、耐暑さスキルが役に立った。

 

 耐乾燥スキルは、喉の渇きを耐暑さスキルは、体の表面温度を適温にし、体内の水分量の正常化に役立った。


 「砂漠地帯の何が嫌って、砂に足を取られることだな。バランス感覚が重要だとハッキリと分かる。」


 走ろうと思えば走れるが、足裏に力を入れると砂に埋もれてしまう為、コツがいるが前の階層の経験もあり直ぐに慣れ始め、ちゃちゃっと快速で飛ばしていく。


 時々、砂からは魔物が見え隠れし、襲いかかってくる。


 上の階層よりも存在格が高く、CからB級の強敵まで存在していた。


 全ての魔物が砂漠の環境に適応し、利用し、武器にしていた。


 例えば、目の前には大きな蟻地獄がある。


およそ直径6メートル。この中にはどれだけ大きい魔物が居るのか。


 そんな事を考えていると丁度良いタイミングで虫型の魔物が蟻地獄にハマった。


 砂の坂を登ろうと必死だが崩れ落ちる砂に足を取られて登れない。


 その時、虫型の魔物に砂で出来た大きな棘が体のあちこちに刺さる。


 致命傷を負い、ガクガクと痙攣し始めて力尽きると、穴の中央部へと落ちていく。


 中央部へと到着すると、二又の刺々しい鋏のような顎で獲物を挟むと砂の中へと引きずり込まれた。


--------------------------------------------------------------


巨蟻地獄ギガアントリオン

存在格:B[59]

状態:健康

HP:1200/1200 MP:1500/1500

物攻:850

防御:650

魔攻:915

魔防:875

敏捷:4

幸運:10


【環境耐性スキル】

『乾燥無効』[上位]

『暑さ無効』[上位]


【魔法】

『土属性魔法』[中級]


【通常スキル】

『剛顎』


 「ほえ〜。すっごいもん見た。てかデカすぎんだろ。む、虫って凄いんだな…。」


 蟻地獄の感想を言ってると、遠くがいきなり暗くなっていく。


 暗がりはだんだんとこちらに近づいてくる。

目の前に来て漸く理解した。


 10万を優に超える20センチ程のイナゴの様な魔物の大群だった。


 イナゴの大群は周辺の魔物へと集団で喰らいつく。


 鋭く強靭な顎で肉を噛み切り、数の暴力で手当たり次第に全ての生命体を捕食する。


--------------------------------------------------------------


滅殺蝗デストロイロウカスト

存在格:C[38]

状態:飢餓

HP:200/200 MP:156/156

物攻:800

防御:286

魔攻:296

魔防:260

敏捷:560

幸運:0


【環境耐性スキル】

『乾燥無効』

『暑さ無効』


【魔法】

『砂属性魔法』[中級]


【通常スキル】

『飛行』

『貪食』

『剛顎』


--------------------------------------------------------------


 その光景を見て脱兎の如く真っ先に逃げると


「やばやばやば!こんなに多いバッタの大群なんて見た事ねぇよ!一体どんだけ居んだよ!」

 

 10万体を優に超える数の暴力には流石に剣技だけではどうにもならない。


 食い殺される未来が脳裏を過ぎる。


 辺りには肉という肉全てを貪り食われ、骨だけの死骸となった魔物が散らばっていた。


 恐らく中には、Bクラスの魔物も居たはずである。


 レベルとは1対1もしくは1対数体、数十体の戦闘なら圧倒的優位に立てる生物界のルールの様なものだが、万の数の前では意味を成さないのかもしれない。


(チンタラ一匹ずつ倒してもキリがねぇ。

 今使える武技ではどうしようも出来ねぇな。 

 広範囲の魔法なら殲滅出来そうだが、生憎まだまだ初級魔法。思い出せ…。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る