第13話 20階層ボスの討伐、その頃の地上は

 不動が20階層のボスを討伐した頃。


 帰還した真田隊長は自衛隊へと戻り、情報を報告。原田、火神、釈の三名が辞めた事を報告。


 同時期に、鬼月のダンジョンへと10人の自衛隊員が探索のため侵入したとの知らせが来た。


 3日後、1人の隊員が門から帰還した。

心身喪失状態の隊員はとある階層まで行くと仲間が次々と死に、逃げ帰ったきたとの事だった。


 その隊員は、情報をマスメディアを通して国民へと報告すると、その日に自ら命を断った。


 遺書が自宅から発見されると、中身は壮絶な体験記録と家族への謝罪であった。


 長々と書かれたその遺書をメディアはテレビで放送。特番を組まれることとなった。


 世間は恐怖と混乱で溢れ、同時に、門への好奇心と興味で埋め尽くす。


 ネットでは、情報が拡散され、デマが横行し、馬鹿な者、無茶な者が次々と門へと侵入した。


 戦闘のプロでさえ死ぬ世界で、どうやって生き残ると言うのか、門へと入った者たちは全てくまなく死亡した。


 ある者は喰われ、おもちゃにされ、犯された。弱者が守られる世界から駆逐される世界へと変貌したのだ。


 強者により蹂躙される当たり前の世界へと移ったのだ。


 この事は更にネットやメディアで拡散され、無茶な馬鹿でも流石に学んだようだ。


 政府は自衛隊と希望者のみに門の探索を許可し、希望者の選定も戦闘の心得のある者に限定した。


 ある者は単独で、ある者は集団で攻略に臨んだ。


 スキルを覚醒させた者の中には、戦闘特化型や魔法特化型、生産特化型、攻略にうってつけのスキル、日常で便利なスキルなど多種多様であった。


 現れたゲートへと世界中の人々が探索へと向かった。


 未知の素材がたくさん採れ、未知のエネルギー資源がそこには溢れる程に潤沢にある為、政府は彼らを【探索者ハンター】と呼称し、世間へと認知させた。


 攻略を始める者、迷っている者、静観して伺っている者、興味のない者。 


 沢山の選択肢が社会に生まれた。


 そんな中、世界でステータス取得者が100000人を超えた頃、世界中の人々の頭には女性の声で


【ランキング】機能が解除されました。


と聞こえた。


 この時、世界で最も価値があり、名誉で、誇り高く、悲劇的であり、惨劇的で、それでも魅力的な【探索者ハンター】という職業が出来た瞬間であった。



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