第5話 二子神淳史の失恋

 俺は一心不乱に受験勉強に励み、第一志望の国立大学に現役合格、その報告と共に遥さんに改めて交際を申し込んだ。ところが、その時には、もう彼女には将来のことを考える彼がいた。五歳年上の同業者だそうで、どちらが遥さんと釣り合うかは考えるまでもない。

 「本当にごめんなさい」と謝る遥さんに当然未練はあったが、彼女の幸せを考え、俺は断腸の思いで彼女への気持ちを振り切った。


 遥さんと別れてから、三か月ほどで年上の女性五人と関係を持った。例のピンクの力のおかげで百発百中だ。でも、もちろん遥さんに匹敵する女性はいなかった。

 バイト先のマネージャーの女性に付きまとわれ、辞めざるを得なくなった時、遥さんの忠告を改めて嚙み締めた。それ以降は例の力はもっぱら女難を避けるために利用するようになった。

 

 大学二年になった俺は、金子ひなたという高三の子の家庭教師をすることになった。ところが、この生徒がピンクのオーラ全開でちょっかいをかけてくる。

 小柄でグラマラスな彼女は、勉強の時間はいつもノーブラだ。乳首を覗けるようなポーズを取ったり、俺の腕に胸を押し付けながら、映画やカラオケに誘ってくる。


 彼女の母親に相談を持ち掛けると、食事でもしながら話をしましょうということになった。指定されたホテルのレストランに行くと、厚化粧をした母親が娘同様にピンクのオーラを纏っていた。この分だときっとホテルの部屋くらいは用意しているかもしれない。俺は「家庭教師をやめさせてください」と頭を下げ、食事もそこそこにレストランを退散した。

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