第6話 佐藤紗理奈の奔放

 私は木下紗理奈から八木沢紗理奈、そして佐藤紗理奈へと三回名前が変わっている。幼稚園の頃に父を病で失い、小学校三年の時に母が再婚し、中学二年の時に離婚したためだ。

 

 母の離婚の原因は私だ。

 夜中にトイレに起きた時に、両親の愛の交歓を観てしまったことがきっかけだった。毎夜大好きなパパを独占しているママがたまらなく羨ましく、また未体験の行為に好奇心が募り、とうとう私は義父を誘惑して関係を持ってしまった。半年ほど続いた二人の関係はやがて母の気づくところとなり、私は大好きなパパと初めて身体を許した彼を同時に失うことになった。

 

 やがて私は性的な奇行を繰り返すようになり、地元の中学校で問題を起こしてしまった。

 私は、優等生の生徒会長を味方につけるべく、彼を誘惑した。一度目は手と口を使ったが、生徒会長は何でも言うことを聴くのでやらせてほしいと言いだし、私は避妊を条件にそれを了承した。

 息子の鞄の中に避妊具を発見した母親が、仰天して息子を問いただした。PTA会長でもある彼の母親は、事態を把握すると直ちに学校に通報、校長先生は私を厄介払いにするために奔走し、私は中高一貫の女子校に編入することになった。


 ママに連れていかれた心療内科の冴島という女医さんによれば、私は「性嗜好障害」なんだそうだ。性欲が強いのではなく、トラウマへの対処行動らしい。大好きなパパを失った喪失感の穴埋めとか、一時的な心の安定とか説明されたが、私は自分のやりたいようにやっているだけなので、実感はなかった。

 

 ただしママに大変な迷惑をかけ続けていることは自覚している。

新しい学校では、「学校でトラブルを起こすな」「妊娠だけはするな」というママの言いつけを守り、表面的には平穏なJKライフを送っていた。

 

 高校三年生になった私は、大学生と交際しつつ、ヤリマン仲間と男漁りの日々を送っていた。 

 交際の相手は、有名私大に通う、セックスも性格もイマイチだけど、ルックスの良い男である。私は、彼のことを、見た目と大学の所在地からミタオくんと呼んでいた。もちろん彼は、ミタオと呼ばれていることも、私の男漁りも知らない。

 

「ねえねえ、聞いてよ、紗理奈」

 私は、親友でヤリマン仲間の、金子碧ルビを入力…あおいと二人で屋上でお弁当を食べていた。私は碧のことを、名字から、ねこちゃんと呼んでいる。

「カテキョが辞めるって言うんだよー。T大生で、すごくかっこいい人で、狙っていたのになー」

 お、ミタオよりランクが上の大学じゃん。

「大学生なんて、JKがやらせてあげるっていえばイチコロなんじゃないの」

「それがさー、全然相手にしてくれないんだよね」

 難攻不落のハイスペック男ってことか。

「そうだ、紗理奈ならきっと落とせるよ。それでさ、一回やったら私にも回して」

「それじゃ、ねこちゃんはクローゼットに隠れて、途中でこっそり入れ替わる?」

「それいいね。やろうやろう」




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