第4話 二子神淳史の純愛
思わぬ展開で、俺は冴島遥さんと関係を持った。俺にとって、遥さんは初めての女性だった。事が終わると、俺は速攻で彼女に交際を申し込んだ。
「遥さん、好きです。僕と付き合ってください」
「えー!」遥さんは目を丸くして驚いた。
「だめよ、そんなの無理に決まってるじゃない。私、犯罪者になっちゃうわ」
初体験ですっかりのぼせ上った俺は、全裸で正座という滑稽な格好で告白を続け、何度もお願いしますと頭を下げた。
遥さんは時折吹き出しながらも俺の話を聴いてくれ、ようやく、「よろしくお願いします」と頷いてくれた。
こうして二人は晴れて彼と彼女になった。
遥さんはデート中は姉のように振る舞い、手もつないでくれなかった。自然な帰結として、デートは早々に切り上げて遥さんのマンションへという流れになる。俺たちは、彼女の部屋で、何度も何度も身体を重ねた。
遥さんの薫陶で俺のセックスは大いに上達した。俺の腕の中で絶頂を迎えた後で、いつも遥さんは俺に忠告した。
「いい、淳史くんは、ルックスが良くてセックスも最高、加えて女性のエッチしたい気持ちが分かってしまう特異体質、その気になればいろんな女性と関係を持つことができてしまうわ。でも、トラブルに巻き込まれたくなかったら、絶対私以外の女性としちゃだめよ」
もちろん俺は他の女性なんか興味はない。遥さん一筋だった。
でも、俺と遥さんの関係は長くは続かなかった。
俺が高校三年になる直前に、遥さんが関係の解消を切り出した。俺の大学受験がその理由だったが、今にして思えば、三十歳になった彼女は、自分の未来について何か思うところがあったのかもしれない。
遥さんだってあんなに積極的に俺を求めて、十分に満足もしてくれていたのに。俺は納得がいかなかったが、彼女の決心は固かった。
それならば少しでも彼女に釣り合う男になるために、俺は大学受験に集中することにした。合格したら改めて交際を申し込むので、待っていてほしいと彼女に告げた。
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