第2話 田中苺の場合

孤児院には色々な人達が居た。

例えば.....子供とか俺とちょっとしか歳が変わらないとか俺と同じ歳とか。

そんな感じで.....色々な人達が居た。

だけどみんな礼儀正しく。

そして清かった。


「.....それが今はどうだ」


5人の女子の女子寮の第二の管理人として呼ばれたのは良い。

だが今現在.....この場に居るのが黒崎先輩だけだとは。

挨拶の収集掛けてもこれかよ。

どうしたものか。

高江さんが声を掛けて回っているが全く進展が無いようだ。


「まあ私が代表を務めるから問題はないだろう」


「.....そういう問題じゃ無いっすよ.....挨拶もしない様な寮生とは.....」


「世の中はそんなに甘くないぞ。若造」


「.....若造っすか.....」


俺は額に手を添えながらゲームをしている黒崎先輩を見る。

黒崎先輩はTシャツに短パンというラフな服装でゲームに没頭していた。

その姿を見ながら溜息を吐く俺。

そして黒崎先輩から目を離して椅子に腰掛ける。


「.....そういや黒崎先輩。代表って言いましたけど.....代表なんすか?本当に」


「そうだな。私が女子5人の代表格だな」


「.....ふーむ.....」


「その私が言うなら彼女達は来ないと思うぞ。君に反発して」


「.....それは困るんですけど.....」


管理人として意味が無い。

俺は考えながら目の前のコップのお茶を飲む。

そして頬杖をついていると。

時に、と声がした。

それから黒崎先輩がゲーム機を置く。


「.....私達の管理人に何故なろうとしているのかね?」


「何故ってそれは高江さんが、どうかな、と聞いてきたからです」


「.....ふむ。それだけかね?実際はもっとやましい.....」


「無いです!!!!!」


ふーむ。つまらん男だな君は、と言ってくる黒崎先輩。

そして俺の顔を覗き込む。

俺はドキッとしながら仰け反る。

黒崎先輩は舌なめずりをした。

ふむ。君.....よく見ればイケメンじゃないか、と言いながら。


「襲いごたえがあるかも知れん」


「嫌ですよ。ロリに襲われるなんて」


「.....貴様しばくぞ」


「今と変動が激しいっすね!?」


「当たり前だろう。私はロリでは無い。高3だ.....」


死神の様な目を向けてくる黒崎先輩。

あくまで合法だからな、と言いながら。

俺は青ざめながら黒崎先輩を見る。

すると階段を降りて来る音が。

それから、智英くん。ごめんなさいね、と高江さんが言ってくる。


「貴方に会うの.....その。ごめんなさい。どう表現したら良いのかしら」


「.....ですか.....困ったな」


「まあ.....取り敢えずは今は館内の説明をしましょう」


「だな。若造。それが良いと思うぞ」


「.....黒崎先輩。俺は若造では無いです」


同じ学校の生徒なんだが、と思いながら俺は額に手を添える。

そしてそのまま高江さんに説明を受ける為に椅子に腰掛けてみる。

それから説明を静かに受けた。



この七色荘は3階まであり。

3階は少子高齢化の影響で物置状態になっているらしい。

要は人数が減ったから、だ。

昔は20人ほどが住んでいたらしいが。

高江さんもその1人だという。


「それから2階ね。赤城ちゃんと城田ちゃんと佐藤さんの部屋があるわ」


「.....そして1階に黒崎先輩の部屋と.....他の誰かの部屋が?」


「そうね。田中ちゃんよ。.....まあ頑張りましょうね」


「因みに私の部屋が1階なのは防犯上の都合だ」


「.....ああですね。やっぱり」


なんか苦労しそうだなぁ.....。

俺は考えながら溜息を盛大に吐く。

そして考えていると。

黒崎先輩が、じゃあ先ずは2階に行ってみるか、と切り出してきた。

俺は、良いんですか?、と言う。


「何れにせよ君は艦長だ。.....団員の存在と部屋の位置は確認しないとな」


「.....ですね。確かに」


「そうね。私は用事があるから.....黒崎ちゃん頼めるかしら」


「そうですね。.....この獣は任せて下さい」


「.....黒崎先輩。俺は獣ではありません」


「ふむ。正直言って君はロリを襲う獣じゃ無いのか?」


「人聞きが悪いっすね!!!!?」


そこら辺のペドと一緒にしないで下さい!

何だと思ってんだ俺を!?

俺は反発しながら居ると、冗談だ。半分はな、と黒崎先輩はニヤッとした。


いや半分.....?

俺は困惑しながらもそのまま黒崎先輩に背中を押され。

そのまま館内を歩いて行く。


「いってらっしゃい」


「有難う御座います。高江さん」


「さあさあ。そうなると先ずは2階に上がる前に田中ちゃんの部屋だな。田中ちゃんは1年生だ」


「ああ。そうなんですね」


「田中苺(たなかいちご)。.....半分ニートだ」


「.....半分ニート?」


俺は?を浮かべて黒崎先輩を見る。

すると黒崎先輩は指を立てた。

学校に半月行ってない。

本人曰くデイトレードで儲けるから学校自体が必要ないらしい、とコメント。

オイ。じゃあ何でこの場所に居るんだ?


「まあ仲良くしてやってほしい」


「いやちょっと待って下さい。それって学校に.....寮に住んでいる意味が無い.....」


「暗号資産は40億円あるらしいからな」


「ウッソだろ!?」


そんな少女が何でこの場所に居るんだ!

俺は考えがながら見ていると黒崎先輩はドアを既にノックしていた。

少しだけ考えさせてほしかったのだが。

するとドアが.....ゆっくりと開き.....。


「.....何ですか。黒崎先輩」


精霊の様な少女が.....出て来た。

それも白髪のお淑やかな.....途轍もない美少女。

白い肌に目が大きい。

その。


またそれに似合うぐらいの白いワンピースを身に付けており.....今にも消えてしまいそうな勢いである。

俺をチラッと見て無視して黒崎先輩を見る。

そして真顔のまま言葉を発した。


「黒崎先輩だけかと思いました。連れて来ないで下さい。こんなクソファ○クな汚らわしい野郎を」


失礼。

猛烈に口が汚い。

俺は苦笑いで田中さんを見る。

落ち着け田中くん、と言う黒崎先輩。


「.....先ず安心しろ。この男は勃たない。襲わない」


「.....黒崎先輩。取り敢えずそれはマズイっす。今言う言葉じゃ無いっす」


「そうですか。このクソ○ァックは勃たないのですね?」


いや納得するな!?

駄目だこれ先が長いな.....。

俺は盛大に溜息を吐きながら。

そのまま口の悪い田中さんを見ていた。

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