5分の1の世界

アキノリ@pokkey11.1

5つの女神

失った先に

第1話 5と1と

中島智英(なかじまともひで)という名前は親父とお袋が付けてくれた名前だ。

智を持つ栄光になってほしい、という意味で。

そんな2人は病気と交通事故でそれぞれ亡くなってしまった。


その為に俺は孤児院で引き取られていたのだが。

2年前に叔母の長島高江(ながしまたかえ)さんが引き取りに来てくれた。

高校入学の時だ。


『ごめんなさい。仕事が忙しくてね』


『.....叔母さん.....』


何でも今はアパートの管理人をする事になって大変忙しくなったそうだ。

そして俺はおばさんの家で暮らす事になった。

それからというもの。


叔母さんは俺を甘やかしてくれて.....そして今に至るが。

俺はちょうど良い機会だとアパートの管理人2号をやってみないかと誘われたのだ。

それから俺は顎が落ちていた。


「.....高江さん。.....この場所.....じょ、女子寮なんですけど.....」


「そうよ?アパートの管理とはいえ.....まあ女子寮ね」


「それって桁が違いますけど!?嘘だろ!?」


しかも俺の通っている高校の.....しかも女子寮!?

俺は仰天しながら見つめる。

七色荘と書かれたそのアパートの看板を見ながら.....俺は愕然としていた。

そして高江さんは入って行く。

ささ。早く、と言いながら、だ。


「あ!待って下さい!高.....」


そこまで言ってから。

頭に何かがクリーンヒットした。

それを剥がしてみると。


パンツだった。

可愛らしいリボン付きの縞パンである.....が。

青と白.....おぉあ!!!!?!!!!!


「んなじゃこれぁ!!!!?」


そんな絶叫すると。

返せ!、とそれに上乗せされるかの様な絶叫が更に聞こえた。

そして俺の頭をぶっ叩く音が聞こえる。

何だ!?いてぇ!?


「誰だお前は!男か!女子寮だぞここは!」


「テメェ何しやがる!お玉で殴ったろ今!!!!!」


「はぁ!?それは当たり前だ!!!!!パン.....」


みるみる真っ赤になっていく目の前の女子を見る。

猛烈な美少女であった。

何というか栗毛色の髪の長髪が目立ち。

そして栗の模様の髪留めを着けたかなりキツイ目をしている。

ってコイツ.....どっかで?


「お前.....佐藤秋(さとうあき)か?俺のクラスの」


「そうだが.....私の名前をよく知っているな。関わり合いがないのに」


「まあ.....それしか特技がないしな。名前を覚える事ぐらいしか」


「?」


すると高江さんが戻って来た。

それから、何をしているのよ貴方達、と言っている。

更に奥から、何をしているのだ?、とも聞こえる。


見れば童顔の美少女。

小学生の様な.....少女が立っている。

黒の長髪に胸がまな板の.....


「私の名前は黒崎奈々(くろさきなな)だが.....コラコラ。初対面の相手にまな板とは?」


「.....お、俺の思考が!?」


「ほほう?考えていたの?では死んでもらっちゃって」


「そうだな!」


「何言ってんだお前ら!」


高江さんがそれを止める。

そして俺を叱る時の威圧。

貴方達。ちょっと落ち着きなさい。さもなくば許さないわよ.....?、と目が笑ってない笑みを繰り出した。

俺はドン引きする。

2人とも、は、はい、と手を引いた。


「という事で。一緒に暮らす中島くんよ。みんな仲良くしてあげてちょうだい」


「.....は.....!!!!?」


「へ.....!!!!?」


「.....!?!!?」


い、一緒に暮らすのか!?

高江さんは何を言っているんだ?

俺が.....まさかこの虹色荘で!!!!?

高江さんは、貴方の部屋もあるわ。智英くん。案内するわね、と荷物を持ってから笑顔になる高江さん。

全く納得がいかない!、と思ってツッコミを入れようとすると。


「何言っているのですか。高江さん。ここ女子寮なんですが.....」


「そうなんだが!?高江さん!納得がいかない!」


女子2人が先にツッコミを入れた。

そしてキャイキャイ言っていると高江さんが、こらこら。そんなに騒いだらダメよ?、と高江さんは笑顔を見せる。

その様子を見ながら俺は顔を引き攣らせる。

ん?でもちょっと待て。


「高江さん」


「.....何?智英くん」


「何人いるんですか?女子は.....」


「5人ね」


「.....5人!!!!?」


5人の女子寮の管理人をやれっての!?

思春期の女子と関われって!?

アホなのか!?


俺は><な感じでシュプレヒコールを上げるが。

高江さんは、うーん。でもここ以外に帰る場所ないでしょ?、と言ってくる。

帰る場所を人質に取った.....。


「嫌なんですが!こんな獣の様な男と!」


「誰が獣だ!」


「そもそもロリを襲うなら怖いねぇ」


「襲えるか!」


厄介になってきたな!

俺は考えながらそのまま荷物を持つ。

そして額に手を添える。

それから室内に入ろうとすると。

待て、と止められた。


「.....貴様は本当に獣じゃないんだな?」


「当たり前だろ。何言ってんだ」


「では証明してみせろ。先ずは.....」


と言うが高江さんにお玉で頭をコツンと叩かれた佐藤。

俺は苦笑いでその光景を見ていた。

一瞬にして取られたなお玉、と思いながら。

それにしても何故.....先程はパンツが飛んできたんだ.....?

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