第27話 おでかけおでかけ


「ねぇ、どこに行くの?」



リリアナは期待に満ちた目をしている。



「まずは食料の買い出しからだな」

「了解」

「わかりました」



まずは商店街に向かった。



「今日は何を買うんですか?」

「とりあえず肉と野菜だな」

「新鮮なものが欲しいところよね」

「その通りだ」

「あの、私にも何か手伝わせてください」



リリアナはやる気満々だな。



「分かった。それじゃあ頼むとしようか」

「はい、任せて下さい!」



俺とリリスは必要なものを買い揃えていく。

リリアナはそれをカゴに入れていった。



「リリアナちゃん、ちゃんと荷物持てる?重かったら遠慮なく言ってね」

「大丈夫です!これくらい余裕ですよ」



リリアナは胸を張って答える。

その小さな体のどこに力があるんだ?



「パパ、これ持って」



リリアナが買ったものが入った袋を差し出してくる。



「はいよ」



俺はリリアナから荷物を受け取る。

リリアナは満足そうな表情を浮かべている。



「パパの役に立てて嬉しいな」

「そうかい。それはよかった」

「うん!これからもっと頑張らないと」



リリアナは張り切っているな。



「無理しない程度にするんだよ?」

「わかってますよ」



本当に分かっているのか心配だな。



「二人とも楽しそうね」



隣で話を聞いていたリリスが声をかけてきた。



「ああ、そうだな」



こうして3人で過ごす時間は楽しいものだな。

しばらくすると日が落ち始めた頃合いだったので帰ることにした。

帰り道の途中、公園を通りかかった時のことだった。



「お腹すいたぁ……」



リリアナが空を見上げながら呟く。



「確かに小腹が空いたな」



俺も釣られて空を見る。



「私もお腹すいちゃいました」



リリスもお腹をさすりながら言う。



「何か食べていくか?」

「いいの!?」



リリアナが目を輝かせる。



「構わんさ」

「やったー」



リリアナは飛び跳ねて喜ぶ。



「リリアナちゃん、あんまりはしゃぐと転んじゃうわよ」



リリスが注意する。



「は~い」



リリアナは大人しく返事をする。



「どこか行きたい店はあるか?」

「おすすめのお店があります」



リリスは自信たっぷりに答えた。



「ほう、案内してくれ」

「はい」



リリスは歩き出す。



「こっちですよ」



リリスは俺たちの前に出て先導してくれる。

俺とリリアナはその後をついて行く。

リリスが連れてきてくれたのは『カフェ・ラテ』という看板を掲げたカフェだった。



「ここなら美味しいコーヒーが飲めます」



リリスが笑顔で言う。

俺達は店の中に入る。



「いらっしゃいませ。何名様ですか?」



ウェイトレスが話しかけてくる。



「3人だ」

「かしこましました。こちらへどうぞ」



ウェイトレスに促されて俺達は席に着く。



「ご注文が決まりましたら、お呼びください」



ウェイトレスはメニュー表を置いて立ち去った。



「俺はブレンドで」

「私はアイスティーでお願いします」



俺とリリスは飲み物を頼んだ。

俺はメニュー表を手に取る。



この店のオススメは「フレンチトースト」らしい。



「俺はこれにするか」



俺は「フレンチトースト」を頼むことにした。



「リリアナは飲み物のほかには何がいいんだ? 好きなものを選べ」

「私も同じのでいいです」

「わかった」

「すみません」



俺は店員を呼ぶためボタンを押す。しばらくしてやってきたのは先程のウェイトレスとは別の女性店員だった。俺は三人分の料理を注文する。数分後、「お待たせいたしました~」と元気よく言いながら若い女性のウェイターが現れた。彼女はトレイに乗せた食器をテーブルの上に置いていく。そして最後に注文していた品である「フレンチトースト」を乗せた皿を置く。俺はその料理を眺める。ふんわりとしたパンにバターが塗られており、その上に蜂蜜がかけられている。美味しそうだ。

「お熱いのでお気をつけ下さい」と言って去っていった。

俺はフォークを使って一口サイズに切り分ける。そして口に運ぶ。甘い香りが鼻腔をくすぐる。味は悪くないな。俺は黙々と食べ進める。横を見ると、リリスが幸せそうな顔で食べていた。どうやら気に入ってくれたようだ。リリアナの方は、ナイフとフォークを使い、ゆっくりと丁寧に切ってから口に運んでいる。その姿は育ちの良さを感じさせる。

食事を終える頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。

俺達は再び帰路につく。

家が見えてきたところでリリアナが言った。



「パパ、リリスさん、今日はありがとうございます!とっても楽しかった!」



リリアナは満面の笑みで言った。



「また遊びましょうね」



俺達の言葉を聞いたリリアナは嬉しそうに笑う。



「はい!」

「それじゃあ、私はそろそろお暇させていただきますわね」

「ああ、ずいぶんと長居したな」

「呼んだのはあなたでしょう?」

「ああ、すまないな、役に立たせてもらった」

「気にしていませんよ」

「…………………………」

「リリアナ、どうかしたの?」

「えっ?いえ、何でもありませんよ!」

「そう?…………じゃあ、またね」

「おう、また来てくれ」

「また、会いましょう!」



そうしてリリスは去っていった。

全く、騒がしい奴だったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る