第12話 ご飯食べ食べ


「……ミハルさんは可愛いな~」



 リリアナがミハルのことを抱きしめながら頭を撫でている。

 おい、リリアナ。あまりミハルさんをいじめるのはやめてやってくれ。……まあいいか。俺も可愛いと思っているしな。

 それにしても、ミハルさんは不思議だな。この子の傍にいると心が安らぐというか、癒されるというか、とにかく心地良いのだ。まるで陽だまりの中にいるような感じがする。この子が笑うと、周りの空気が明るくなるような気がする。……それに、この子と居る時はなぜか落ち着く。初めて会ったはずなのに、何故か昔から知っていたような感覚に陥る。俺の勘違いかもしれないけどな。

 リリアナがミハルさんに話しかける。



「ねえ、ミハルさん。今日は家に泊まっていかない? もっとお話したいの。ダメかな?」

「えっでも……」

「泊って行けよ。行くところもないんだろ?」

「それでは……お言葉に甘えまして」

「よし! 決まりだな」



 俺はミハルの肩に手を置く。



「パパ! ミハルちゃんと一緒に寝てもいい?」

「ああ、構わないぞ。ただし、ミハルさんに迷惑をかけるんじゃないぞ」

「はーい!」

「お世話になります」

「気にしないでくれ。さて、とりあえず食事にしようか」

「はい!」

「うん! 食べる!!」

「ミハルさんは何を食べるんだ?」

「何でも食べますよ」

「そうか。リリアナ、悪いが手伝ってくれるか?」

「もちろんだよ」

「助かる」

「いえいえ」

「ミハルさんはゆっくりしていてください」

「いえ、私も手伝います」

「そうか。では、お願いします。分からないことがあったら、遠慮なく聞いて下さいね」

「はい。分かりました」



 俺達は台所に向かう。そして、三人並んで料理を始めた。



「じゃあ、まずは野菜を洗おうか」

「任せて!」

「お願いします」

「はい。ところで、オーフィアさん。料理は得意なんですかね?」

「料理か……。料理は好きですよ。特にお菓子作りが好きです」

「お菓子作りかぁ。それはいいですね。私もお菓子作りは好きです。特にケーキとかお菓子が好きなんですよ」「そうなんだ。ちなみに、どんなお菓子を作るのが好きなのかな?」

「私は、クッキーをよく作りますね」

「へぇ、クッキーか。俺はドーナツが一番好きだな」

「なるほど。私はチョコレートが大好きです」

「チョコか。俺はキャラメルが好きだな」

「いいですね。私はイチゴ味が大好きでして」

「俺もイチゴは大好物です」

「そうだったのですね! 私もイチゴが好きなのですが、一番はミルクレープです。あれは最高に美味しい食べ物の一つです」

「分かるな。俺もよく作るぜ。……今度作ってみるか」


「ミハルさん、私にお菓子作り、教えて欲しいな」

「私で良ければ喜んで」

「やった!! ありがとう、ミハルちゃん!!! 大好き!!!!



 リリアナはミハルさんに抱きつく。


「ミハルさんは教えるのが上手そうですね」

「そんなことありませんよ。私なんかまだまだ未熟者ですよ」

「ミハルさんは謙虚なんだな」

「ミハルさんは可愛いな~」

「あう~」

「ふふっ」



 ミハルはリリアナに抱きつかれて困惑しているようだ。



「リリアナさんは可愛いな~」

「ミハルさんは綺麗だな~」

「ふふっ」

「うぅ~」



 ミハルが顔を赤くしている。ミハルは恥ずかしがり屋なのかな。



「ミハルちゃん、顔が赤いよ? 大丈夫? 具合が悪いの?」

「ち、違います。大丈夫ですから」

「本当? 無理はしないでね」

「は、はい。大丈夫ですから」



 ミハルは少しだけ照れくさそうだ。





「パパ、ミハルちゃんの顔が赤くなってる。大丈夫かな?」

「大丈夫だ。ミハルさんは恥ずかしがり屋なんだよ」

「そっか。良かった」

「ミハルさんは可愛いな」

「ミハルちゃんは綺麗だな」

「あう~」



 ミハルが照れている。可愛いな。



「そろそろ出来上がりそうだな」

「そうですね」

「うん。楽しみだなぁ」

「俺達が作った料理だ。きっと旨いはずだ」

「うん! 早く食べたいなぁ」

「もう少しで出来るから待っていてくれ」

「はーい」

「はい」



 俺達はカレーを作り終えて、テーブルに並べる。



「おお、旨そうだな」

「うん、美味しそうだね」

「はい。とても良い匂いがしています」

「そうだな。さて、早速食べるとするか」

「はーい」

「いただきます」

「どうぞ召し上がれ」

「いっただきまーす」



 俺達は料理を食べ始める。



「おっ、美味いな」

「ほんとうだ。凄くおいしいよこのカレー」

「ふふっ、お口に合ったようで何よりです」

「うん! ミハルちゃんの作った料理はどれも美味しいよ!」

「そう言ってもらえると嬉しいです」



 ミハルは笑顔で言う。



「ミハルさんの料理は本当に美味しいですよ。やっぱり料理が得意なんですね」

「いえ、得意というわけではありませんよ。ただ、料理が好きなので、よく作っているだけです」

「それでも、こんなに美味しく作れるなんて、ミハルさんは料理の才能があるんだろうな」

「そうでしょうか?」

 ミハルは首を傾げる。

「そうだよ! ミハルちゃんは天才だよ!」



 そんな風に俺たちはご飯を食べながら、親睦を深めていった。


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