第3話 ハイカロリー・ハイリターン

 さて、ここからは。

 元女芸人アンと、死に方が女芸人アン・ロッゾの与太話としてお読み下さい。

 まあ、こんな説もあるって話。

 

 あ、そう言えば前のアン、亡くなってるんだよね⁉️

 私が入っているし。


 例えば戦争や飢饉で、母親が食べることもままならず、栄養失調の状態で子を産んだ場合……

 たまにしか与えられない栄養で効率よく肉体を作ろうと、子はそれこそ『水を飲んでも太る』くらい、太り易くなるらしい。

 うん‼️人間ってスゴい‼️


 なら、つまり今の私、アン・ロッゾはその反対、貴族の象徴として太りまくったお母様が産んだ子なので、いついかなる時もカロリー万歳、危機感がないからいくら食べても太らないわけだ。

 うわー、前世で欲しかったわ、その体質。


 取り敢えず実験的に大食いしてみた🎵

 全然ダイジョブ。

 ギャル◯根並みだね。


 しかし、これはまずいことになった。

 太っていることがステイタスのこの世界、公爵令嬢の私には、12歳にもなって婚約者もいない。

 つまり、貴族として恥ずかしい、痩せてはいないよ、標準だよ🎵の娘など、親としては外には出せないわけだ。

 そりゃ、夜中にアップルパイ食うよ。

 少しアンが気の毒だ。


 仕方がない。

 放っておいても多分近々追放だろうし、魔法を極めることにした。

 

 やっぱあったよ、魔法❤️

 異世界の定番。

 けれどこの世界、魔法はそこまで重要視してない。

 むしろ、太った貴族に安全に出産させるためだけの、片寄った進歩をしていた。

 突っ込みどころが多すぎるが……

 ボケなんで流す。


 転生もののお約束だ。

 適当な自主練でも使えるようになった。

 火、風、土、水、光、時、空間、聖属性に闇属性だ。

 まだまだいけそう。

 なかなか有能です、私。


 私がアンになって1ヶ月。

 太らない私をなじる家族は捨ててしまおう。

 って言うか、マジ長生き出来ないよ、お父様、お母様。

 絶対‼️

 120パーセント、糖尿病だよ、あんた達。


 転生1ヶ月で私は家を出て、公爵領の北の森で暮らし始めた。

 『トム・ソーヤの家(実際は友人の家だったような……)』だって作り放題‼️

 焼き肉だって焼き放題で、魔法サイコー‼️


 ゴブリンは……

 臭いんで食べない。

 オーク(二足歩行の豚)、美味しゅうございました。

 デカイ鶏(ロックバード?)、美味しゅうございました。

 なんか、蛇っぽいし、いけるとは思っていたけど‼️

 ドラゴン、超旨かった🎵


 楽しく暮らして少しして。

 「は?」

 思わず声が出てしまう。

 大木の上にある我が家の前に……

 

 デ……

 太った人が落ちていた。

 女性で……

 何故かわかる。

 「ユリ⁉️」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る