第16話

俺たちは再び船に乗った。そしてまた3ヶ月ほど旅をした。仲間は増えなかったが、5人の友情は増していった。俺は何となく、この5人でなら、仇をうつことができそうだなと思った。

それから1週間。ついに決戦の時を迎えた。

奴らのアジトを見つけたのである。緊張した。

今まで何度も作戦を練ってきた。だからこそ、報われてほしいと願い、緊張するのだ。

「よしっ!!お前ら今までよくやった!これ以上は何もない!あとは俺たちの実力だ!俺たち5人で集まれるのは、これで最後かもしれない。だから、今、この瞬間を楽しめ!!!!」

俺は決戦の前にこう言って、決戦の時が来るのを待った。三時間もしなかった時だ。あの集団が帰ってきた。あれは確かに、大成を殺した奴らに間違えわなかった。コタローは硬い表情をしていた。やはり、そこには彼のお父さんの姿があったらしい。「よし!!みんな!やるぞ!!」俺はみんなにささやいて、決戦の時は始まったのである。俺はまず自分たちの船を持ち上げ、奴らに投げた。これで18人全員死ぬ。これで仇が打てる。なんだ。1人でできるじゃん。俺が今まで、一番の友までを無くして仲間を集めた意味とは?今更ながらに俺はそう思ってしまった。俺は船を投げた。死んだ。よし!仇を打ったんだ!よし!やっと報われた!!

ところが、誰も喜びの声をあげない。なぜだ?俺は当たりを見回した。俺は絶句した。船は俺の仲間たちに投げられていた。無だ。何も感じない。どうも思わない。何の感情も出ないのだ。今までの時間はなんだったんだろうか。共に涙してきた仲間をこの手で殺してしまった。俺の頭には、仲間と過ごした自分には有意義なすぎるほどの思い出が繰り返し流れていた。次第に涙がこぼれ落ちた。同時に、今までと比べてられないほどの怒りに襲われた。俺は船を持ち上げた。そして相手の感情をよんだ。相手は左に逃げようとしているのがわかった。だから俺は左に船を投げて殺した。全員死んだ。これで、仇をうった。そうなんだ。うったんだ。俺は、俺の家族や友達を殺した奴らを殺したんだ。

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