第2話 お金が無い
「クックックックッ フヒ アーッハッハッハッハ」
ソファーの上でかなり独特な笑い方をしている元参謀殿は最近お気に入りのバラエティを見て大変満足している様子だ。
「ナスよ、たまには我の家事を手伝ってくれてもよいのではないか?」
「嫌です、ジャン負けした自分の運を呪ってください」
「おまっ・・・」
正直こいつ普段全くと言っていいほどにチートスキルを使わないせいで忘れていたが、『 未来視』を持っているやつにジャンケンするのは本当にバカだったよ・・・それよりも聞かなければいけないことがある。
「所でナスよ」
「どうしましたか?」
「その机の上のゴミは何だ?」
今朝方に配達された荷物なのだが何だろうロボットなのかな?
「ゴミだなんて酷い、これはガンダムシリーズの機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに出てくるガンダム試作3号機、コードネームはデンドロビウムの超有名機ですよ?知らないんですか?」
「いや、知らんよ」
ダメだこいつ、何を言っているのか全く分からない、魔術の詠唱か?いやっ、こいつそんなの覚えてるわけないか。
「この機体は、モビルスーツ通称MSにモビルアーマー通称MAの要素を組み込んだ汎用性、攻撃力に特化したまさに最高の機体で、ここのコントロールグリップと言わ───」
「いくらした」
最悪だ、昨日の夜からやたらウキウキしているのを見てなぜか嫌な予感はしていたけど、あの明らかに過剰な梱包を見て何となく察する。
「・・・・」
「いくらしたんだと聞いている」
「でも魔王様、この子はオークションで全く価値のわかっていない俗物どもが安価で手に入れようとしていたので私が───」
「そんなのはどうでもいい、いくらしたんだと聞いているんだ!」
「じゅ、10万とほんの少しです」
呆れた、我が家の元参謀殿は何もしないくせに『 浪費癖』と言う味方にデバフを振りまくチートスキルを持っているらしい。
「あと、ほんの少しとは何だ?」
「そっ・・・それはー・・・・」
おっとぉ?何故そんなに言葉が詰まるのかな?
ほんの少しだったらあっても万も行かないだろうし。
「とりあえず、もう怒らないから言ってみろ」
正直色々聞きたいこととかあったけどもう何かどうでもいいや、まあ一応何円の金額がかかったかくらいは確かめておかないとな。
「発送料とプレミア価格と手数料で100万です」
「ん?」
私は何も言わずにスマホを手に取り『 ほんの少し、意味』と調べた。
「お前はバカか!? えっ100万?何処から出したの、てか何でそんなもの買おうとしたの、いやっもうそれ早く売れ!」
「ダメです魔王様」
泣きそうになりながらナスは迫真の顔で喋った
「何だ?!」
「名前書いちゃいました!多分1万でも売れないです!」
足元から崩れてしまった、たしか私の記憶が正しければこの元参謀殿は基本無表情で下のもの達からミステリアス、クールビューティそしてそこから出てくるさり気ない気遣いで『 結婚したい上司ランキング1位』(何故か男性部門)を取っていたはずなのだが──私の記憶が間違ってたようだ。
「魔王軍の時は給料が軍内でしか使えないポイントシステムだったからお金が無いのは分かる、だが100万も何処から手に入れたのだ?」
「それは、親切な人がくれました」
「親切な人?」
あっダメだこの後言うことがわかった
「はいっ!牛牛ファイナンスと言う所の牛山さんと言う人が 」
終わった・・多分『 トゴ』で金利を融資している所だ・・・どうしよ足に力が入らない今日はしばらく立てないな。
「はぁーーーっ」
大きなため息が出た、そりゃ出るさ私の給料ではどうにもならないし。
「魔王様?」
その牛牛ファイナンス?潰しに行ってもいいけど・・・流石にこっちが100悪いのにそんなことするのは────
「魔王様、僕いったいどうすればいいのでしょう」
正直ナスのこの顔はズルいと思う子犬みたいにウルウルしちゃって、本当にズルい。
「わかったわかった、そんな顔をするなどうにか牛山さん?に話をつけておくし10万の方は我が何とかするからナスは頑張って働いて100万は返すのだぞ」
正直ナスがこの様なことをしたのも私の監督不足もあるし責任くらい取らないと。
「まっ魔王様」
「ん?」
「僕、働かないといけないのですか?いやです!」
「うん、殺すぞ?」
なんやかんやあってナスにはお金を返すまでこのオモチャを人質にして仕事をしてもらった。
その後ナスは得意のスキルを使いどうにか100万を返したらしい、方法はあえて聞かなかったが何故か帰ってくるナスは毎日血なま臭かった・・・聞けばよかったかな。
それと、牛牛ファイナンスに謝りに行った私はと言うと、行ったはいいものの謝り方が分からなかったので物理で話を聞いてもらい利息無しにしてもらったし危うく舎弟ができそうだった。
ちなみに今朝方 牛山さんにお礼を言いに行こうと思ったらその場所は売り地になっていた。
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