第3話 魔王様を探しています

地球の上の方の大陸には魔王城がある、これは、この世界の常識である。


そして、その魔王城の一室でとある会議が行われていた。


「一体貴様は何を言っているのだ!」


「貴様こそさっきから何を訳の分からないことを」


「拙者の意見こそ採用されるべきであろう」


「てめぇえらよぉ、この俺様がよぉ、来てやってるのにこの体たらく、どぉお言うことだぁ?」


議題は[消えた魔王と参謀をどうするのか?]

・・・とかそう言うのでは無く議題は───


[筋トレルームの増設]であった・・・・



俺の名前はネオ・アルベス・ラ・スカーレット 何故か皆から武蔵と言われペット扱いされている邪神だ。


「暇だ暇だ暇だーー」


魔王達が消えて早1ヶ月が経つが魔王軍は以前変わりなく稼働している、それどころかこんな議題が出たりはするが皆が一丸となって軍を回しているのでよく循環していると言えるだろう。


「よっ武蔵何だー散歩か?ご主人様居なくて寂しいよなーw」

クソッ変なのに見つかった、名前もよく覚えてないが確か・・四天王の・・・なんて名前だったか。


「五月蝿さいぞ三下がっ・・殺してやろうか?」


「ガッハッハッ はいはいそうでちゅねー」


「クッ・・・」

正直以前までは魔王が色々してくれたおかげで俺はそれなりの対応を貰っていたが今じゃこの有様。



「魔王・・いったい何処に────」



その頃魔王はと言うと。


深夜のコンビニ


先輩の発注ミスを擦り付けられ


お客に理不尽に怒鳴られ


元の鈍臭さもあってレジ打ち間違い


覚えられないタバコの銘柄


そして店長のストレスのはけ口としてボロクソに言われていた・・・。



「ノスちゃんも大変ね〜」


「いやー正直辛いですね」

この人はバイトのいい方の主婦の先輩で、ノノノル・ナーヴ・ニンビルスと言う私の名前の頭と下を取ってノスと言う名前で呼んでくる。



「それにしてもノスちゃん、海外から来て間もないのに最初から日本語上手いわねー」


「そうですね、元いた国で沢山勉強したんですよ」(魔法で何とかしました)


「そうなの?ちなみになんだけど、どこら辺の国なのかしら?」


「そうですね・・・海があって少し冷える言うなれば田舎の島ですね」(北極です)


「あら、そうなのねてっきり都会の方かと勝手に思ってたのだけど・・・顔立ち的に欧米あたり?」


「確かに比較的近いですね」(北極です)


「そうよねー、ノスちゃん美人さんだけどアジア顔じゃないしだからってロシア寄りでもないしそこら辺かなーって」


「本当に凄いですよ、まさか当てられるとは」(魔族です)


何だかんだ優しい先輩も居るし、給料もちゃんと払って貰えるし、そもそもこんな身元不明な奴を雇ってくれる所なんて他にないしで何だかんだ続けて行くだろう。



「そう言えば、ノスちゃん」


「はい?何でしょうか」


「家の猫が子供を産んじゃって貰い手を探しているのよ」


「そうですか・・・残念ですが家アパートでペット禁止何ですよ」

ペットか・・・そう言えば居たな城にもペットが、名前は何だったかな・・・確かー・・・・まぁいいか。



「そうなの?残念ね〜」


「すみません、力になれなくて」


「いいのよ、気にしないで他にも宛はあるし」


そんな他愛のない会話をしているとシフトの時間も終わり、廃棄の弁当を何個か貰って帰路に着いた。


「魔王様〜おかえりなさ〜い」

帰ると直ぐにナスが擦り寄ってきた、まるで猫のように。


「どうしたんだ?ナスよこのような時間に」

言ってはみるものの正直この時間にこいつが起きている時点で察しがつく。


「その弁当下さい」


「あげるわけないだろバカ」

分かっていた、この甲斐性なしはかつての面影など微塵もない今やただのクソニートなのだ。


「いいじゃないですか〜少しくらい下さいよー」


「これは我が今日努力をして手に入れた成果なのだやるわけないだろう」

そう言いながら私はビニール袋から厚いコミック雑誌を出した。


「魔王様・・・本当に使えないです───」

そう言うクソニートの腹に思いっきり回し蹴りをかましてやった。


「とっ所で魔王様」

と受けたダメージに回復が追いつかないクソナスが喋りかけてきた。


「どうした?クソナス」


「クソナスって・・・あっ違うそう言えば魔王城を暇つぶしに見てたら武蔵が魔王様の事を求めて泣いていましたよ?、どうします?」


「武蔵──」

あーそうだそんな名前だったなー、急に目の前に現れて構ってほしそうだったので愛でてあげたよくわかない生物。



「もしかして、忘れてました?武蔵のこと」


「いやぁ?丁度迎えに行くべきか考えてた所なのだぞ?」

声が上ずってしまった、恥ずかしい、死にたい。


「でしたら、どうしますか?迎えに行くのですか?」


「んー迎えに行ってもいいけど・・・家ペット禁止だし───」


「でしたら大丈夫です、あいつ人型になれるので」


「えっ?」


「え?魔王様知っているでしょあいつが一応邪神なこと」


「うん、知らなかったかなそんなこと」

よく分からない生物たど思ってたけど邪神だったんだなー、言語喋るし、四天王より余裕で強いし、魔力だけならナスと同じくらいあるし、結構強いなーとか思ってたけど、そうなだなーあいつ邪神だったのか。


「迎えに行くのですか?行かないのですか?」


「んーーーー行くかなぁ、でも今日は疲れたし行くとしても明日に───」


「では、行ってらっしゃい」


「んぁ?」パチッ─────

ナスが指を鳴らすと同時に私は魔王城にいた

パジャマ姿の上、歯ブラシを持っている余りにも威厳のない姿で。



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