ソーシャルゲームと功罪

越後浪人

第1話

私はソーシャルゲームをいくつも兼ねている。それも10本の指では余りが出るほど掛け持ちしている。

有名どころの『デレステ』は配信開始から4年遅れ、『ミリシタ』は2年遅れ、『スクスタ』は配信開始当日から参戦したが、ようやく10章である。

子供の頃は親からビデオゲームを制限されていた。触ったゲーム機はゲームボーイがせいぜいで、同年代の平均的な方より遥(はる)かにゲームに触れた時間が少ないので、スーファミ世代なのにスーファミの使い方を知らず、今もゲーム下手である。

では何でソシャゲをいくつも掛け持ちする身になったか。その答えは『散々な想いをした』からである。

 私はアスペルガーなので対人が苦手である。その癖(くせ)、人並みの恋愛をしたいと思っていたのが不運だった。


『お近づきになりたい』


その想いが小学校以来、空回りを続け、他人と、特に女性と話をするのに10年ほど、修練(しゅうれん)の時間を必要とし、20代の私は美少女ゲームに狂った。

『アイドルマスター』の『メール☆プリーズ』のメールにプロデューサーの顔で返信したのだから、まさに生のお笑いコントである。

ソーシャルゲームに手を出したのは20代の後半で、『君と一緒に』に至っては人間関係で大揉めして整理したくらいである。

 『テイルズ・オブ・キズナ』は短期間で止めていったが、『デレマス』と『ガルフレ仮』はプレイしたり止めたりを繰り返した。

 名残惜しいのは『ミリマス』で,

参戦してから3年で配信が止まった。Wi-Fiを知り、iPod touchでプレイするようになったのは平成31年の春だった。それまで人様を羨み、妬みすらした。『嫁コレ』に至ってはスマホゲームをプレイできるようになった時点でとうの昔に配信を止めていたのである。

ソシャゲをプレイしていて嫌になるものはガチャで、キャラとの時間作りを阻害(そがい)し、課金へ走らせる。パチンコと同根であることを知っているので、なおさら悩ましい。『プリコネR』で『デレステ』とのコラボイベントを復刻したとき、キャラ欲しさでいわゆる『天井』までした。

何をするにも宝石が要る。課金したそれでないとならないことがざらにあり、裏を返せばそれが課金させる手口である。特に『デレマス』は甚だしい。

ソシャゲの中には三次元アイドルを題材としたものもある。しかし、プレイヤーの中では意外に少なく、『乃木フェス』に至っては『デレステ』や『ガルパ』の後塵(こうじん)を拝した。

ソシャゲは携帯にゲーム機を兼ねさせることでプレイヤーの絶対数と携帯依存症を増やした。私もそうだが、果たして無条件で悪いのだろうか。

答えはNOだと全力で言いたい。確かに携帯電話が発明され、インターネットが普及し、SNSで何千里の彼方にいる相手と繋がれて、ソーシャルゲームによって何処でも誰でもゲームをプレイできるようになった反面で悪事も広範囲に、かつ悪質になった。

しかし、同調圧力なんて昔からで、悪い大人だって昔から、派閥なんて団塊の世代が負の歴史とするセクトこそそうだった。

現実が真っ黒でソシャゲへ走って喜びを得た若者がいる。ソシャゲのおかげで二次元美少女を知り、若者と繋がれた年配の方がいる。

 ゲーマーからソシャゲはつまらないと言われているのも至極当然で、平成前半期までのゲームは『プレイヤー側に喜びを売る』方に傾斜を掛けていた。

 ソシャゲの場合、『喜びを売る』のではなく、『如何にお金を掛けさせるか』を優先してプログラムを組んでいるので、ルーティン作業に成り下がるのも早い。そして配信を止めれば跡形(あとかた)もなくなる。

今日も『アイドルマスター』シリーズや『ガルフレ仮』のイラストが微笑(ほほえ)ましい。

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