第107話

検証しようと思ったが、どうやって検証すれば良いんだ?

俺がしたい検証は時間経過だろ、でも二十分の一なのか三百分の一なのか六千分の一なのか判断する方法が無いんだよな。

俺が思い付ける検証方法は、現実に時間を経過させて定期的に中の素材とかの状態を見るぐらいしかない。

それだと時間が掛かるよな。

と言う事は、まず二十分の一かどうか?を確認して、問題無いとなれば三百分の一であると仮定しようかな?

それでも充分に長い時間保存できるから、今のところ問題無いだろうしな。

今はそれくらいしかできないな。


あとは、投石スキルかな。

合成すれば、最終的に必中になるんだろうし特に検証は必要無いだろうけど、取り敢えず試しとこう。


『投石スキルを合成しますか?』

『はい』

『投撃スキルになりました。続けて投撃スキルと投撃スキルを合成しますか?』

えっ!合成結果が違うのかよ!

取り敢えず合成しとこう。


『はい』

『投爆スキルをになりました』

えっ!更に知らないスキルに変わったのかよ!

どうなってんだ?


・投撃スキル 投石で攻撃した時の威力が五倍になる


・投爆スキル 投石で攻撃した時の威力が十倍になり、石が弾け散る。


・・・えっと、投石特化でスキルが成長したってことか?


頭の中でそのスキルのことを整理して考えてみる。

結果、納得のいく答えらしき物を導き出せた。


投石特化での成長は、魔物が武器を持たないからと結論付けた。

魔物が投げるのは、その辺に転がっている石と言うのが普通で、人間のように専用の武器などを投げたりはしない。

と言うことで、投石に特化したスキルとして成長するのではないかと考えた。


しかし、これで固有スキルの成長が同じとは限らなくなったな。

今後、固有スキルを調べる時には先入観無しに調べないとな。


もし、このスキルをスロー・モンキーに使ったら、威力あり過ぎだろうな、これ・・・石が弾け散って、対象も弾け散りそうだ。

こわっ!


まだアンバーは帰ってこないし、後確認するのは・・・収納Ⅱスキルと保存庫スキルが特殊合成できるか?ってことか。

ただ、これは確率が低いだろうな。

たぶん収納スキルは、ⅡからⅢに上げれるはずだから、成長途中だろ。

今までの合成の感じから、成長途中の合成って余り例が無いんだよな。

まあ、取り敢えず挑戦だけはしてみるか!


『収納Ⅱスキルと保存庫スキルを特殊合成しますか?そんなのできませんよ。色々足りてません』


『・・・・・・・・・何今の?』

【ストッカー】の返事おかしかったよな?

「そんなのできませんよ」とか「色々足りてません」とか、何か俺って馬鹿にされてないか?

ってか、スキルに馬鹿にされるのか?


『おーい、【ストッカー】。俺を馬鹿にしてんのかよ?』って、返事は無いか。

えー、さっきの何だったんだよ!



何か納得のいかない状況になってしまったが、結果としては合成はできなかった。

何か足りないっぽいことは理解できた。

スキルに馬鹿にされたのは納得できてないがなっ!

前にも、何かダメ出しっぽいのがあった気がするし・・・

モヤモヤするが、どうにかできる訳でも無いので結局は放置するしかない。


強制的に気分を入れ替えて、アンバーに連絡することにした。


『どこにいるんだ?』

『さっき頼まれてた縄張り見てきたよ。他の群れはまだ来てないみたい』

『そうか。一応その辺は安全ってことか・・・分かった。アンバーは続けて他の群れを調べるのか?』

『もういいかな?同じ感じばっかりで面白く無いし』


ははは、面白く無いんだな。

『じゃあ戻って来いよ。食事にしよう』

『戻るよ!』



俺は戻って来たアンバーと食事をしながら、今後の方針を相談していた。


『・・・で、アンバーの提案に乗って、メスを囮に平地に引き寄せて斃す方法を取ろうと思ってるんだよ』

『じゃあ、メスを持って行けば良いの?』

『アンバーが、やってくれるのか?危ないだろ?』

『全然、石ぐらいじゃ痛くもないし、噛み付かれても引っ掻かれても怪我なんかしないよ』


忘れそうになるけど、神獣の子供なんだよな。

そりゃあ、あのぐらいの弱い魔物じゃあ太刀打ちはできないか。


となると、囮と引き付け役をアンバーに頼んで、俺は待ち伏せ殲滅役かな。


『分かった、そっちは任せるぞ、相棒!』

『準備しといてね、相棒!』


何故か、アンバーを相棒って呼ぶと何が嬉しいんだか喜ぶんだよな。

まあ、本人がやる気になるんで、問題無いんだけど。


取り敢えず、アンバーとも相談して、街道沿いを集中して排除することにした。

理由は、俺らが行き来し易くするため。

毎度毎度、恐声とか隠密とか使いっぱなしは面倒だってことだ。


後、上手く事が運べば流通を再開できる可能性もあるし、ここで左右を分断しておくと後が楽かも?っていう打算もあったりする。

何せ四本ある街道の内、三本がスロー・モンキーの所為で通行禁止とか、伯爵が大変そうだし。

上級の冒険者が来ても、多少はやり易くなるだろうしな。


俺は、まず保管庫スキルと投爆スキルが更に合成できるかの検証がしたいだけだし。

できないってなれば、スロー・モンキーに用は無いんだよな。


ああそれと、今日は街道周辺のスロー・モンキーを狩って、明日は少し移動してみる予定だ。

突然スロー・モンキーが生息地だった森を離れた理由も気になってたんだよ。


通常は、こういう群れを作る魔物は縄張りを移動したりしないんだって本には書いてあったんだ。

移動する場合ってのは、大抵が縄張りを奪われた時らしいし、となると、誰が奪ったか?気になるだろ?

それを確認した方が良いって気がするんだよ。

これは完全に俺の勘なんだけど。


そんなことは後回しにして、今はスロー・モンキーだ。

俺は街道上に陣取って、準備をしている。

アンバーは既に森に入って、囮の捕獲に動いてる。


俺は今回も大量の猿に群がられるだろうと思い、腰に短剣も装備した状態だ。

短剣は槍ほど上手くは使えないが、それでも剣技を持ってるし最低限は使える。

槍はどうしても接近戦に弱い部分があるから、だから近距離武器である短剣も装備したんだ。

前回は急だったこともあって、その辺の準備が不十分だったために無駄に傷を負ってしまったからな。


後は、拳大の石を大量に入れた収集3スキル付きの袋も用意した。

最初は石を投げて、投爆スキルの効果を確認してみたい。

俺の予想通りだったら、今回の作戦に凄く向いたスキルだと思うんだよな。


『エドガー、やったよ!今そっちに向かってる』


おっと、アンバーから連絡が来たし気合入れとこう!


「あれっ?何かアンバーの咥えてるメスが大きく見えるんだが?」

それが、森から飛び出したアンバーを見た最初の感想だった。


『アンバー、そのメス大きくないか?』

『大きくないよ!三体咥えてるだけ!』

『はぁあっ!』

『だって、群れ一つずつ釣るの面倒だったんだ』


何!それって群れ三つ分ってこと?

一つの群れが五十としても百五十がいっぺんに襲い掛かってくる!


ヤバイ!!

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