2023-4-7
相変わらずの雨にやる気を削がれながらも学校に向かった。ようやっと駅に着いたと思った瞬間、私の自転車は右から大きな衝撃を受けて飛ばされた。息ができなくなり、しばらく仰向けになっていた。一分程雨に打たれていただろうか。私は息の仕方を思い出した。周りを見渡すと焦った顔のおばちゃんが大丈夫?と声を掛けていた。ああ、私は轢かれたのだな。こんな経験は初めてで、咄嗟に大丈夫です。と答えた。その回答を待っていたと言わんばかりに、おばちゃん、基、ババアは去っていた。私はナンバーすら確認していなかった。学校に遅刻するといけないので、スマホを取り出し時間を見た。私は時間より先にスマホに入ったヒビを見た。六年以上スマホを使ってきて、割れたことは初めてで信じられなかった。スマホが割れるものなのだとどこか信じていなかった認識が私を襲った。自転車のハンドルは歪んでいて、押して駐輪場へ向かった。右足が痛んで、まともに歩けないが幸い時間には余裕がある。痛みからか気づかなかったが、イヤホンが片耳ないことに駅の構内で気づいた。轢かれた時に落としたのだろう。散々だ。あのイヤホンも四万円した。あの自転車もあのスマホも十万円越え。体に至っては値段的価値では推し量れない。轢き逃げしたやつは何を失った?ババアは何を失った?社会的地位か?それともお金か?いやいや、あいつは逃げ仰せてしまった。その事実に段々と憤慨してきた。修理費で考えればもっと安いはずだが、私は相手に対価、もしくは代替品購入の補填を求めてしまう。ナンバーも相手の名前も知らない。警察に行っても無駄だろうし行く気にはなれない。最悪の一日だ。雨の度に思い出して嫌な気分になるだろう。雨の日の自転車がもっと嫌いになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます