やっぱりブラ外れない!?

 友達の一郎と隆が帰った後、頭に被ったブラを外そうとするオレ。

…ダメだ、全然外れない。


なんでこうなるのか…。意味が分からないぞ。

このまま無理やり外そうとしたら、髪をむしり取ることになってしまう。


何か方法を考えよう。きっと浮かぶはず…。



 【ドンドン!】


オレの部屋のドアを叩く音で意識が戻る。うっかり昼寝しちゃったか。

それにしても、何なんだ?


「何?」

半分寝ぼけながら返事をするオレ。


「『何?』じゃないわよ!って何度も言ってるでしょ!!」


やば! 母ちゃんがキレてる。


「ゴメン。すぐ行く!」


「早くしなさいよ!!」

そう言って、離れていく母ちゃん。


再び頭に被ったブラを外そうとする。…全然ダメじゃん。

ていうか、この状態でリビングに行くの?


母ちゃんと莉子に、頭にブラを被ったことがバレる。

そうなったらどうしよう? ヤバいよ、絶対にヤバいって。


何とかごまかさないと…。そうだ、帽子だ。

帽子を被れば、ブラが見えなくなるぞ。


でも室内で帽子を被るのは不自然だ。

それをごまかす理由は…。


…クソ、時間がない。リビングに向かう間に考えよう。

オレは急いで自分の部屋を出た。



 リビングの机の上には、既に夕食が置いてある。

母ちゃんと莉子は着席済みだ。


「貴弘。何で帽子被ってるのよ?」

母ちゃんの視線が痛い…。


「……」

莉子に至っては、オレをゴミのように見ている気が…。


「この帽子、気に入ってるんだ。だから被ったって良いだろ」

これ以外の言い訳が思い付かない…。


「…はいはい。さっさと食べましょう」


オレの答えは流され、3人は夕食を食べ始める…。



 夕食後、すぐ自分の部屋に戻ってきたオレ。

夕食は帽子でごまかせた。けど次はどうする?


…さっさと白状したほうが楽かもな~。

隠し続けるのは、いつか限界が来るし…。


…やっぱ無理。母ちゃん怖いし、莉子には絶対引かれてしまう。

それだけは、それだけは避けないと…。


風呂とトイレの時だけ考えれば良いんだ。

その2つ以外で、今日自分の部屋を出ることはない。


明日の学校は…、仮病を使っちゃうかも?



 オレがいつも風呂に入る時間になった。

この時間帯は、莉子は自分の部屋にこもり、母ちゃんはリビングにいる。


なので母ちゃんにだけ、気を付ければ良い。

そう思って、ブラを隠さずに自分の部屋を出た時…。


「あ…、莉子」


「…ねぇ。頭にあるそれ、あたしのブラだよね?」


廊下で莉子とバッタリ遭遇しちまった!

何でだよ!? 何でこんな時に限って…。


どうしよう? オレ、絶体絶命じゃん…。

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