第2話 ストリーマー
チームと契約を切ってから2週間。
俺は今日もHEROXをプレイしていた。
俺的にはあまりやりたくないのだが、どうしても謎の義務感からかランクを維持しないといけないと思ってしまい他のゲームが手に着かない。
HEROXは競技シーンも有名だが、ランクマッチも引けを取らない。
俺も元々競技シーンに興味は無く、それこそランクマッチ一筋だったが、当時の実力が認められたのかチームに勧誘されて所属してからは競技シーンの練習をしていた。
HEROXではブロンズ、シルバー、ゴールデン、プラチナム、ダイアモンド、マスター、エクシャスとランクが7区分で分かれておりブロンズが最底辺、エクシャスが最高峰となっていてエクシャスに関しては上位1000人しか入る事が出来ない。
俺の最高ランクはエクシャスの21位、4KAGIは23位でG4siinは34位となっている。
サーバーにも種類があり、日本サーバーや台湾サーバー、アメリカサーバーと別れているがエクシャスの順位は全てをまとめたサーバー内での順位のため、実質俺は世界21位まで行ったことがあるという事だ。
やり込めば誰でもなれるという訳でもないので、自分では凄いと思っているのだが上には上がいるという事で俺の枠で新しく入ったSpeakの新人の
現順位はエクシャスの201位。
ここまでくればシーズンが終わるまでエクシャスを維持できると思うが、まあ念には念をという事でここ2週間は4KAGIとG4siinと俺でずっとランクマッチを回している。
「そこ、一枚割れてる」
「おけー、二枚やった」
「ナイス、取りきるわ」
世界大会2位の実績があるこのチームに敵無しと思われるが何が起こるか分からないのがFPSの醍醐味。
それこそチーターが来て一瞬で壊滅させられたり、全員体力が無い状態の時に漁夫が来て死ぬなんてことがザラにある。
「まっずい、漁夫きた」
「ガードナーのドームで起こせるから、蘇生してて。俺グレで牽制しとく」
「おけ起こした、アーマー着替えてポータル張るわ」
世界大会を思わせる三人のチームワークに盛り上がりを見せるコメント欄がサブモニターから伺える。
契約を切られてからと言うものの、三人の視聴者数はほんのわずかだが伸びている。
ネットニュースの影響なのか、プレイが評価されているのか分からないが嬉しい事だ。
「ぐわっ、こっちにも別パいるわ。積んだ」
「え、もう入ったって」
「これは正直仕方ない」
結果は6位とまずまずの戦績。
時刻は1時を回り、朝から配信しているため配信時間も5時間を超えた。
「すんません、一回昼休憩入ります」
「んじゃ、自分も」
「ういー、ミュートしときます」
俺の休憩宣言を気に、二人も休憩に入る。
自分の手元と顔を写しているワイプを一度切り、視聴者にも「飯食うんで一回休憩で」と伝え、俺は席を立った。
~~~
コンビニ弁当を食って来て配信場所である防音室に戻って来た。
コミュニティ大会の優勝賞金で買ったこの防音室、どんなに叫んでも外に声が漏れないため凄く気に入っている。
俺は実家暮らしで両親は既に亡くなっている。
一応妹も居るが、今は札幌で一人暮らしをしている。
前まではSpeakのオフィスがある東京で一人暮らしなんて夢を見ていたが、そもそも向こうに行くまでに金が溜まらなかった。
まあ、防音室さえ買っていなければ向こうで少しは生活できたかもしれないが後悔はない。
俺は椅子に座り、ワイプを繋げてスマホをイジリ始めた。
他二人はまだ帰ってきていないようなので、俺はミュートを解除せずに視聴者と雑談を始める。
『やっぱり上手いですね!』
『世界大会、まだ悔やんでますか?』
『何食べてきましたー?』
「ん、飯はコンビニ飯だよ。世界大会ね、確かに悔やんでるけど今は二人とHEROXしてるだけで良いかな。上手い? ありがとうございます」
適当に返しつつ、俺はTwllterのDM欄を開いた。
先ほどトイレでスマホを見た時、変な名前の人からDMが届いていたのだ。
最初はスパムやエロ垢の類かと思ったがアイコンや名前からそういうアカウントではないことは覚えている。
「えっと、なんか変な人からDM来たんだけどさ。
俺の純粋無垢の発言に、コメント欄はざわつきを見せた。
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