第2話
私は、気づけば何もない空間にいた。
身動きもできない、呼吸をしてるかすら確認できない。その上目も開けられないため周りの情報を視界から得ることでさえ叶わない。
聴覚…は確認の術がないか。
「哀れな人間よ。我の声が聞こえるか?」
聴覚おっけーだったわと思いながら、私は意思表示の方法を探した。
(聞こえるかとか聞かれても声すら出せないんだっつーの…)
「まあ、まあ良いのだよ。貴様に決定権はないのだからこちらの声さえ聞こえていれば問題ない」
(ク◯か?この状況今漫画とかアニメとかで流行ってる転生系とはかけ離れてるんだが?)
「まあとりあえず説明を始めようか」
女神?(転生系だったら大体そうだからそう表記する)らしき人物はそういうと説明を始める。
(あーこれ長いやつかな…)
「まず、なぜこのようなことになっているかというと、バチが当たったからだな。
おそらくもう気づいていると思うが、理不尽する理由で◯ねという言葉を使った回数が100回以上に達したため死刑としました」
(100回も言ってたの…?)
リアルにどんな顔になっていたかはわからないが、私の想像ではこの世の裏を見たかのような顔になっていたと思う。
元々性格がいい方だと思ったことは幼少期に数回ほどしかないが、まさかここまでとは思っていなかった。
「で、トラックに追突されて死亡、それで貴様の人生の終わり…のはずだったのだがな…」
(ん?訳あり物件かな?)
「実は…お前の処刑のせいで何人かが犠牲になってな」
(あぁ…)
久喜のことだろうな、と思った。
最後に視界に映ったのが私のことを庇おうとする久喜の姿だったからだ。
その事実から9割くらいの確率で久喜のことだろう。
女神からため息らしき音が聞こえた後、再び話し始める。
「そのミスが私のせいでな…その罰として貴様を生き返らせることになったのだ」
(ラッキーというよりあれだな。都合悪い時に現れる無理やり作者パワーで事実を押さえつけるやつ)
「まあそういうことだから。そのかわり」
(そのかわり?)
女神のそのかわりの言葉を発する時のトーンと真剣さに少し違和感と不安を抱きつつ、次の言葉を待つ。
「ただで生き返らせるのは癪だから男として転生させるな!」
(おん?)
(おんおんおんおん?)
(おんおんおんおんおんおん?)
(…………チッ)
女神の裏と性格。そして神といえど人間の性格からは逃げられないことを知った。
(ク◯がよぉ!人の意見はちゃんと聞いてくれよ…覚えてるよク◯女神が…っ)
動かない体から少しだけ、大粒の涙が漏れた感覚がした。…ような気がする。
唯一良かった点を挙げるとすれば、このめんどくさい転生理由説明の時間が十分足らずという短い時間で終わったということだろう。
◆◆◆
(…マジでク◯だろ)
他の世界に男として生まれ変わって、そう思ったのは次回話すとしよう。
陰キャのJK、異世界に転生する。 にゃんな @nyannnyann
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