第63話

 ホームセンターを通り過ぎると、脇に人気のない駅がある。虎倉駅だ。 


 雨が強くなった気がした。走るのを止めて駅に向かって歩いていると……駅前のパン屋の外で雨に濡れながらパンを頬張っている我が妹がいた……。


「ほひいちゃん!?」

「良かったー! 我が妹よ!!」

「ほひ?! ほひいちゃん? なんで駅構外にいるの? ほひいちゃんの影が、駅構内のどこかにほひいちゃんを攫たっから一人で来いって……」

 

 俺の影は確かに、さっき影斬りの刃で地面に落としたんだ。なのに…何故?!

 ていうか、誰だ!

 そいつ!


 多分、俺の影じゃない!


 カンがそう叫んでいる!


 一体、誰の……影なんだ?! 

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