第62話

 でも、走りながら気がついた。向井さん……一体どこを探せばいいんだ?!

 よし、まずは何もわからないから向井さんの家へ行ってみよう!


 約5分ほど走ると俺の家にたどり着けた。はて? 向井さんの家は……そうだ! 向かいにあるんだった! 


「すいませーん……」


 赤い屋根の二階建てで、砂利の地面の脇には植木鉢がたくさんならんでいた。俺は向井さんの家の呼び鈴を鳴らしてみる。おじさん以外の人がいるはずだ。そうだ! 奥さんがいるんだった!


 玄関を開けたのは、……向井さんだった。

 おばさんじゃなくて、当のおじさんの方の…?!


「やあ、影洋くん。学校どうしたんだい?」

「うぎっ…??」

「あれ? そんなに汗を掻いて大丈夫かい? 家で麦茶でも飲む? 光ちゃんが駅の方へ急いで走って行ったよ。学校で何かあったのかい?」

「いえ……俺、今から学校行かないと! それでは! 失礼しました!」


 自分でもマヌケなのはわかっている。

 けど、決して、バカじゃない。

 けれども、もっとマヌケな目にあっている。


 俺の感が正しければ……。

 内通者が確実にいて、そいつは……。

 

 内通者は、この街だ。

 そう、ここ虎倉街だ……。


 多分、街中の防犯カメラで俺たちの行動を全て監視していたんだ。

 ここ最近の出来事で誰にも知られずに、ここぞとばかりに邪魔が入っているんだし。なんとなくの感だけど、この街の防犯カメラを観ている奴か奴らが犯人だ。


 俺は自分の感を信じて、光を探した。


 俺をここまでおびきよせて、一体?


 妹とバラけさせるため?

 いや、違うな。

 俺の家から妹が走った方角は、駅だ。

 そして、わざわざ向井さんが俺に知らせてくれることも、当然そいつは知っているはずだ。


 駅はここから南の心影山の方角の逆だ。 

 杉崎がバイトしていたホームセンターの脇辺りにある。


 いずれは追いつけるんだ……。 


 

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