第32話

翌夜


 フカフカ、フカフカ。

 チュン、チュン。


「おにいちゃーーん!! 夜だよーーーー!!」

「う、むにゃー!」


 我が妹が投げた枕にぶち合ったって、天蓋付のベッドから起きる。

 俺の今日は学校休んで心影山に登らないといけないんだ。学校の授業、怒ると怖い先生、クラスメイトの性格を調べるなどなどよりも、影斬りの刃の方が大切だった。


 あれ? 心影山に登るには……。

 だーーー、どうしようか!

 登山道具一式ーーー!

 ええと……その前にお金どうしようか?

 あ! ひらめいた!


「光よ! 心影山に登った時の登山道具一式は?」

「ほひ? 恵さんからお金を借りたの。そんで近所のホームセンターで買った」

「そうかー! ちょっと小さいかも知れないけど、無いよりましだよな!! その登山道具一式貸してくれ!!」

「ほひ……? いいけど……」


 それにしても、真っ暗な闇の外から小鳥のさえずりが聞こえるのは不思議だった。


 俺は身支度を始めると、天気予報を確認しようとした。何故なら山は天気が変わりやすいからだ。

 

 早速テレビのリモコンを持つと、妹がテレビを点けた……。


「……今日は、晴れ時々、曇り……にわか雨です……どうもぱっとしない天気ですねー。そして……影の……活動が……皆さん今日は外出を控え……」

 

 うん……影の活動がたぶんピーク。

 普通の天気予報だ。

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