第31話 

 俺の部屋の扉をぶち壊してしまうほどの勢いで、妹が飛び出して来た。


「わ、悪かったって!」

「もう、おにいちゃんはいつも一人で解決しようとする!」

「え?!」

「影の世界へ行ったんだって女神様が言っていた……」

「うぎっ……」

 天蓋付きのベッドに俺は座っていた。


 おじいちゃんとおばあちゃんは、部屋の中央にあるソファ。妹は扉付近の腰掛けに座った。


「あのね。あのね。おにいちゃんが影の世界へ行った後、女神様が現れておにいちゃんが帰ったら、心影山へ影斬りの刃を取りに行かせてって言ったの」


 外の暗闇から急に稲光がした。

 その後に大雨が降りだした。


「お、おう! 任せろ!」

「一緒に行ってもいい?」

「駄目ー!」

「いいもん付いていくもん」

「……」


「まあまあ、影洋ちゃん。光も連れていきなさいなあ」

 おばあちゃんが深刻な顔で窓の方を向く。

「きっと、役に立つから」

「え、な……?」


 おばあちゃんの「きっと、役に立つから」の言葉の意味はさっぱりわからなかった。


「うーんと、ね。心影山でおじいちゃんとおばあちゃんを助けたの……私が……」

「うっぎーーー!! なんだってーーー!!」


 妹に危ないところへ行かせてしまった。

 でも、どうやっておじいちゃんとおばあちゃんを助けたんだろう?


 丸い腰掛けに座る我が妹は、こんなの朝飯前よみたいな顔でニッコリしている。

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