第14話

「ほら! 来い!」

 影が吼えた。

 武術の型は、……心影流?

 俺と同じだった……。

   

「そらっ!」

 影が左腕を少し後ろに引くと、すぐさま素早い貫き手が俺の腹から少し上で胸の下。その中央を正確に狙ってきた。そう、みぞうちだ。そこも人体で鍛えられない弱点だ。俺と影が使う心影流は、超接近戦用の相手に致命傷だけを残す技だった。

 

 声も俺と同じ。

 型も同じ。

 俺は戸惑ったが、寸でのところで躱した。


 次は俺の番だ!

 貫き手を躱された影の出足を左足で払って、前のめりになった影の頭部に側頭頭突きをお見舞いした。


 決まった!!


 心影流は、守りの技だ!

 最初に仕掛けた方が分が悪いんだ。


 影は頭を片手で抑えて派手によろけた。


 よっしゃーー!!


 うぎっ?!


 影はダメージがないのか一目散に後ろを向いて走り出した。


「な、何故……?」

「おにいちゃーーん! 大丈夫?」


 妹がここ住宅街のT字路まで走って来た。


「うーん、……ノーダメージ? 脳震盪のうしんとうもない……の」

「何が?」

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