第15話

 その時、俺の頭に何かが直撃した。


「痛て?!」

 

 上を向くと、案の定……無数の傘が空から降って来ていた。


「光。ヘルメットだ!」

「ほい!」


 俺と光はヘルメットを被って、元来たところの会館へと慌てて引き返す。

 妹の身体に当たりそうな傘を素手や体当たりで弾いて走っていると、傘が大振りになりだした……。


「痛ってーーーーー!! なんだってんだーーー!!」


 素手、頭突き、足蹴りなどで傘を打ちながら叫ぶ。

 町民は皆、ヘルメットを被って会館の屋根のある場所へ避難していた。 


「おーい! 早くこっちへ!」

 見ると、最初この影の世界で地震があった時に、俺たちが避難を勧めた。住宅街のおじさんと裕子というおばさんがこっちへ来いと手を振っていた。


「ありがとうございます! 痛ってーーー!!」

「ありがとうございます! おにいちゃーーん! 大丈夫ーーーー!!」


 俺と光は傘の降る広場を全速力で突っ走った。

 ようやく会館の屋根の下へと入ると、バサバサと傘が空から降っている音がした。この影の世界って? ああー痛かった! 常識が変だぞ? いや、あ! そうか! 多分、表の世界と常識が逆なのかも知れない。だけど……これじゃあ……。


 明日、何が表の世界と逆になっているのか調べてみよう!

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