第12話
「あ! あれは!!」
俺の中で昨日の夢の記憶がまざまざと蘇った。
夢の中では俺だけに危害を加えていたけど、ほんとは違うんだ……。俺の父さんと母さんを殺したのは……俺の影だった。今までそのことはどうしても思い出したくはなかった。
「くそっ!」
左手の傷を摩った。
俺の影だけは形でわかるが、会館の中央で踊っているおどろおどろしい他の影たちはわからない。真っ暗な広場で影たちは踊っているだけだったが、何かの儀式のようにも思えた。周囲の町民は、ヘルメットをかぶってそれを見守っているがみんな怯えたような顔だった。
影たちの踊りが止んだ。
それぞれ四方へと影たちが霧散するように帰っていく。
俺は俺の影のシルエットを追った。
そういえば、今日の天気予報で世界各地で祭りが起きると気象予報士が言っていたようだけど、ひょっとしたら、これなんじゃ……。
全国的な影の踊り。いや……。
恐らく、この踊りは町民や俺や妹の影による何かの儀式なんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます