第11話

 妹よ。それなら起こすな!!


 内心叫んだが、そういえば、今日は町内会があるんだった。これも我が妹のお蔭だ! 早く支度して行かないと!


「光。支度を急ぐぞ!」

「ほい! 早く支度しないと! 学校の先生に怒られるからね! おにいちゃん! なんか天気予報では今日は傘が降るって言っていたみたい。影の世界では日常なのかな?」

「いや、そこから違う! 今日は学校休みで傘なんて降らない! 町内会があるんだ! 妹よ! ヘルメットを恵さんから借りよう!」

「ほえ?」


 天蓋付のベットからさっそく降りだして、少し支度にバタバタすると一階へ向かった。昨日は二階ではなくて、一階で夕食を取ったんだ。俺の隣のおじさんなんて(恵の父親)、クリュグという高そうな酒をグイグイ飲むし。昨日の夕食は、楽しかったな。 


 そして、今は朝食の時間は過ぎてしまったから、縦長のテーブルにはなにものっていない。メイド姿の人からパンとヘルメット? を渡された。さあ、恵さんにお礼を言って急いで町内会へ行かないと。


 恵さんは、「うん。じゃあ、いってらっしゃい」と言っただけだった。どうやら、うん。影の世界ではこれが普通の日常生活なのだろう。


 俺たちは急いで、実家があった場所を目指した。恵さんの屋敷から走って30分。完全に遅刻だった。


「ほひいちゃん! あれ!」

 パンを走りながら頬張っていた妹が指差す方を見ると、会館では何かが大勢踊っていた。 

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