第8話
学校から少しだけ歩くと、そこは大豪邸の芝生の中だった。鬱蒼とした芝生だらけの庭には、芝生以外もあるのだろうけど、俺には芝生以外は見えていない。
芝生。
芝生。
芝生。
「あ、そっちは池があるから。ていうか、気をつけてね。家かなり広いからどこかで怪我をしても、すぐにはわからないの。あっちは薔薇の園」
「うぎっ。了解」
黒ギャルの恵さんが笑顔で、こんなのいつものことよ。と、いう感じで話していた。だが、俺と光はジャングルに迷い込んだ探検隊の気分だった。
「おにいちゃん。すっごい友達持ってるね……」
「いや、友達というよりクラスの憧れだった人。俺にとっては、特別なスーパークラスメイトだ。光。そっちの方には薔薇の園があるらしいから近づかない方がいい。薔薇の棘が刺さると痛いぞ」
「ほい。おにいちゃん」
恵さんが、やっと開けた芝生から突如現れた屋敷を指差した。
「あんたたちの部屋は、多分二階。一階は、応接室やら台所やらあるから」
「おう! ホントありがとな!」
「ありがとうございます!」
俺は改めて黒ギャル化した恵さんを見てみると、こう思った。現実世界の恵さんは、今どうしているのだろう?
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