第7話

…… 放課後


「はあ~~。やってられない」

「どうした? さっきからため息ばかりついて?」


 公平が心配してくれている。

 俺は唯一の妹。光の帰りを待つために昇降口にいた。隣には真面目に変化した公平が「最近はここら辺も物騒だからさ」と気さくに一緒に待ってくれていた。


 ため息の原因は二つある。


 一つは学校での楽しみだった。恵さんの姿をもう見れなくなったこと、ちなみに俺は黒ギャル変化した恵さんは好きではない。


 もう一つは、学校が泊めてくれない。

 先生が困るからと追い出されてしまった。


「なんだってんだー! 今日は、どこへ泊りゃあーーいいんだー!!」

「あのさ。俺ん家は?」

「駄目だ! 女の子の光がいる! 兄として! 兄として!」

「わかったよ……じゃあ、獅子野 恵の家は? あいつの家。凄く大きくてさ。この街一番のお金持ちだっていうからさ。頼めば、部屋の一つや二つは貸してもらえるんじゃねえ?」

「……黒ギャル……うっ……眩暈が……」


 眩暈がしたが、俺は別に黒ギャルが嫌いなわけではない。

 恵さんが黒ギャルになったことが大問題だった。

 あの、落ち着いて、しとやかで、陶器のような色白な、いかにも御令嬢のような……。


「ああーーーー!!」

 俺が叫ぶと、後ろの方から女の子の声がした。

「うん? どうしたの?」

 振り向くと、靴箱に靴を入れている獅子野 恵……当の本人がいた。


「あのさ、こいつ泊まるところがないっているからさ。恵さん家に泊めてくれないか?」

「うん。いいよ」

「ああ、良かったな。影洋」

 公平が泊まる場所を代わりに聞いてくれた。

「何故、俺を置いて話が進んでんだ……?」


 俺は恵ちゃんを真っ暗な昇降口で恐る恐る見つめてみた。


 う!!

 途端に気が変わった。


「……ああ、良かったぜーー!! ありがとな!!」

「なに、その間は?」

「いや、なんでもない。あ、妹もいるんだけど、いいかな?」

「別にいいわよ。お部屋いっぱいあるし」

「やったーー!!」

 

 黒ギャルと化した恵ちゃんも、凄く可愛かった。

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