Special days 08 お祭りの写真。


 ――それは百万石の敷地内で行われるイベント。行事と言うには自由なことだから。



 まずは到着。チェックインから始まる。百万石という名のホテル……ここは和風なので旅館というべきだろう。お部屋を案内された。仲居さんという着物の女性から丁寧に。


 仲居さんは、もしかしたらトナカイさんの親戚とか……?


 するとクスッと笑うトナカイさん。いかにも千佳ちからしい発想だともコメントも添え。するとすると思い出したこと。ジャキ―チェンの息子がジャキ―チエンと言ったクラスメイトのことを思い出した。僕らの年頃なら笑えそうな、幼い発想なのだ。因みに僕もその仲間。テレビとかでやっている爆笑ネタを再現し、笑わせることがクラスで流行っていた。


 それはさておき、お部屋……


「わあ広―い」と、自分でも驚くような歓喜の声。ここには家族風呂も設けられ、露天風呂もある。そして、お部屋の中はトナカイさんと二人きり。実は……今日が初めてだ。


 トナカイさんと二人きりで一夜を過ごすこと。


 まずは食事だ。僕もトナカイさんも着替える、浴衣に。この旅館専用の浴衣。臙脂色の羽織が特徴。冬バージョンとも言える。畳で座布団。御膳に用意されている……寒ブリ。


 北陸なだけにお魚がメイン。


 初めての食感に、お味……涙が出る程の感動。「そんなに美味しいかい?」と、トナカイさんは僕の顔を覗き見て、僕は「美味しい美味しい」と、ここぞとばかりに味わった。


 お風呂は就寝前と、翌朝と決めた。


 お部屋に備わっている露天風呂と、大浴場の露天風呂と二度おいしい設定。その前にお祭りというイベント。今宵も八時から開始される。この旅館版の盆踊りなの。


 盆踊り自体も初体験で、


 まさに見よう見まねで罷り通っている。僕だけではなくトナカイさんも初めて。トナカイさんは異国の人だったから、日本文化に触れる。僕は日本人だけど、お初なの。


 けれども楽しい。気分爽快で光るストロボ。スナップ写真を業者さんが撮影し。



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