Special days 07 加賀の百万石。


 ――サンダーバードは走る。決められた線路の上を。決められた進路を真っ直ぐに。



 お空はギリ夕映え。でも、ギリ夜空かも。


 薄っすらと浮かぶお月様に、お星様がキラリ。あと数分で今日も夜を迎える。さすがにチェックインが気になるところで、ホテルへの。予約時間とか大丈夫かな? と思う。



「あの、大丈夫なの? ホテルの時間」


「少し出発が遅れたみたいだけど、まあ、間に合うか。温泉駅からタクシーで行けば」


「下車は加賀温泉駅だったね? 僕、初めてだし……」


「大丈夫。このトナカイさんが素敵なXマスにしてあげるから。サンタさんに負けないくらいにビッグなプレゼントを千佳ちかにしてあげるから。サプライズの集大成になるから」


 笑みを見せるトナカイさん。よほど僕にプレゼントをしたいらしい……


 そう言えば、思考したことがなかった。僕と出会う前のトナカイさんのこと。よく考えたら知らないことばかりだ。ちゃんとお母さんに話したのかな? 大人の話し合いで。


 僕も興味はあるけれど……


 まだ、その勇気はなし。本当に好きな人としかしないと、心に決めているの。


 今わかることは、あくまで外観。特徴を伝えることが難しそうな人だ。身長は百六十五センチ。僕よりも二十五センチの差。中肉中背、ごく普通のプロポーションで、黒縁の眼鏡が特徴と言えるのかな? その奥の目は、少し細目。黒髪のキッチリと七と三の割合で分けている。実年齢よりかは老けたような感じで、やっぱり親子にしか見えない感じ。


 なのでホテルも同室。


 普通に親子。でも、氏名と年齢の記載を促されたら、従兄妹の方が都合が良い。ごく自然にそう思われることが関の山だ。何ら問題の欠片もなし。そこには毎日恒例の、お祭りがあるそうだ。何故かお母さんが出発前に教えてくれたの。それからそれから「次に訪れる時は、家族写真を撮りたいね」とも。思えば家族写真の記憶って、これまでなかった。



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