Special days 06 変わる万華鏡。
――夕陽に向かって走る!
まさにそうだ、この光景。今まさに、サンダーバードは雄々しく旅立った。
大阪から京都。そこからトンネル。七分程の、長いトンネル……
左右の耳に感じる圧迫感。それに暗く覆われる景色をもまた……
続かない。ずっとは続かない。差し込む光のその向こうは白……
寒さを感じる白銀の世界。珍しい光景のはずなのに、燥ぐ心の中に懐かしさも兼ね備えている。全体の、ほんの少ない割合なのかもしれないけれど、懐かしさがあるの。
僕は生まれた時から、関西にいる。
黄色と黒のイメージ。たこ焼きもお好み焼きも大好きに入っている。アニメの『じゃりン子子』は、僕の姉貴的存在。逞しい姉貴の雄姿を、いつもトナカイさんのお家で拝見している。サンダーバードは北へ北へと向かっている。行く先は北の最果て?
行く先はね、トナカイさんの手の中にある。もしかしたら北のお空……ポーラースターに手が届きそうな場所。そこがきっと、最果てと呼ばれる場所。そしてまた未知。
未知なる世界だ。
北陸の区域、敦賀から始まる。武生……噂には聞いたけど、菊人形で有名な場所。一度は行ってみたいけど、片道切符の旅でなければ、またの機会で構わない。今はただトナカイさんが決めること。僕は行く先をトナカイさんに委ねている。この先の進路も。
トナカイさんは、僕のパパになる人。
でも今はお友達。なら、恋人という選択肢も今なら可能……
「何処でお泊りなの?」
「北陸といえば加賀百万石。今度、
千尋は、お母さんの名前。トナカイさんよりも十八歳も年上だから、予行練習だね。
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