Special days 02 旅の始めはね。


 ――いつも決めたその時から。もうその時から始まっているの。



 でも、行く先は? 当てのない旅。僕は幼き日から憧れていた。それから旅のアイテムは、やはり電車。僕は遠い日の朧気な記憶、白と青の電車が雪降る中を走る、その記憶を辿るようにと北へ北へと。自ずと進路は決まってゆく。独り善がりの進路が……



 ならば、この電車がお空を飛んで、まるで銀河鉄道のようにラッキースターと出会うのか? 或いは地を駆けつつ、地上の星にラッキースターを見出すのか? この度のお題となる『小さな勇気とラッキースター』を求めて。そのお題こそが、僕が理由……


 僕が、とある小説サイトの『書くと読む』に投稿を始めた理由。


 小さな勇気……


 僕にあったら、悪いことなんかしていなかった。不登校も、お母さんに辛い思いも。


 僕のお母さんはシングルマザーを長年に渡り勤めてきた人。僕を育み養うために、心が軋む程の苦労を重ねてきた。僕の不登校の理由は……フラッシュバックする程の、いじめだった。女の子としては語りたくないことも含まれる。それでも、お母さんはお母さんでいてくれた。僕以上に辛かったと思えるのに……でも、同じ女という立場で、


 イブの夜が、トナカイさんと僕がお友達でいられる最後の日。明けたのなら、トナカイさんは僕のパパになる……なってくれる人なの。僕は、寂しさも胸の内に抱えていた。


 つまりはトナカイさんを、お母さんに取られるという風にも思想できてしまうの。同じ女という立場では、母と娘でありながらも、嫉妬する心が密かに現れ……でも、


 お疲れ様だったねと、心より囁き深々と……感謝の思いが嫉妬に勝るようにと、心では思っている。そんな僕の、不安定な心を整えるための旅路でエッセイ……だから、


 小さな勇気は、僕の心を動かして、

 お母さんと二人きり、トナカイさんとの二人きりの旅のことを話すに至った。出発の前夜となるも、「行っといで」と、そっと一言、送る言葉をくれた。笑みも浮かべて。



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