第一章 Part9

世界の秘密について、ユキとミユキに話すことにしたアスタ。二人に話す為、場所を変え、四人はアスタの住む宿へ移動し、そこでユキとミユキはアスタの話を聞くことにした。


「アスタ、この世界の秘密って、どういう事?」


「この世界に何か、隠されているんですか?」


「…この世界は、俺達がホントの意味で生きてる世界じゃないんだ」


「え、それって、どういう事?」


「俺達がホントに生きていた世界は、この世界とは、また別の世界なんだ」


「え!?じゃあ、この世界で暮らしている全員、ホントは別の世界の人間なの!?」


ユキは思わず立ち上がり、思っていた事をアスタに聞いた。


「いや、この世界でホントに生きている人も確かにいるけど、それが全員って訳じゃないんだ。俺達が例外ってだけで」


まず、何故アスタが、ユキとミユキがこの世界の人間じゃないと知った理由の一つは、前にイナイとメッセージでやり取りしていた時に、向こうの世界で生きている者達、アスタを含め二十二名の名前が入ったデータを、ちらりと見た時に、ユキとミユキの名前があったからである。二つ目は、アスタが記憶を取り戻した際、そこにユキとミユキ、そしてフェイがいたからだ。


「あ、そうなんだ」


ユキは落ち着いたのか、ベットに座り、アスタの話の続きを聞くことにした。


「アスタさん」


「ん、どうしたんだ」


「少し、聞いてもいいですか?」


「あぁ」


「向こう側の世界、つまり私達は、そこで産まれて、生きていたんですよね?でもこの世界でも産まれた、一体何人が、私達を含めて、この世界でも産まれたのですか?」


「二十二人だ、なあヒナ」


「あぁ、もっと正確に言うなら、今は二十一人だ」


「今は?」


ユキは疑問に思い、口に出す。


「あぁ、元の人数は、私を除いて、二十二人だった。その一人と言うのが、…アスタの親友の、フェイだ。彼が唯一、この世界の秘密を教えられ、この世界で亡くなった。我々の仲間の一人だ」


「っ!?」


ユキとミユキは、思わずその事実に驚いた。


「ごめん、アスタ」


「良いんだ、大丈夫。俺はこれ以上、仲間を失いたくない。だから、俺は、誰かを守れるぐらい、強くなる」


アスタは両手を握り、心に強く誓った。


「えぇ、強くなりましょう。ここにいる剣士達、そして、ここにいない仲間達の為にも」


「ミユキ…うん、強くなろう。そして生きて、元の世界に帰ろう」


ユキとミユキは、最初の方こそ驚いていたが、アスタの言葉を信じ、この世界から抜け出す為に、強くなろうと誓った。


「あぁ、改めて頼む、協力してくれ、ユキ、ミユキ、ヒナ」


「うん!もちろん」


「もちろん協力しますよ」


「今更だな、もちろん協力するぞ。とことん付き合うと約束したろ」


「皆、ありがとう」


四人で共に戦っていくと決めたアスタ達。そして、これからダンジョンで特訓しようと、ダンジョンへ向かおうとしたその時、ユキの元に一通のメッセージが届く。


「ん?メッセージ?誰からだろう」


ユキはメッセージを開いた。メッセージの送り主は、なんとランキング第一位のユウマからだった。メッセージの内容は、ランキング第二位のユキとランキング第三位のサオリは、今からここの地図に載ってる場所へ来てほしい。という内容のメッセージだった。


「ユウマからだ。何の話だろう」


「どうしたんだ、ユキ」


「ボクもよく分からないけど、何か話があるっぽいんだ」


「急な呼び出しなんて、珍しいね、お姉ちゃん」


「うん。ごめんアスタ、先にダンジョンに行ってて、ボクもこれが終わったらすぐに行くから」


「分かった。…ユキ」


「ん?」


「…気をつけてな」


「…うん!心配ありがとう。じゃあ行ってくる」


「待ってお姉ちゃん、私も行く」


「ミユキも?…分かった。行こう」


「うん。アスタさん、私も話が終わったらすぐに行くので、先にヒナさんとダンジョンへ行っててください」


「あぁ、分かった。二人共、気をつけて」


「うん!」


「はい」


二人はそう言うと、アスタの宿を後にし、ランキング第一位のユウマから指定された場所へと向かった。


「じゃあヒナ、俺達は先にダンジョンへ行こう」


「あぁ、そうだな」


アスタ達も、ユキとミユキを見送った後、二人でダンジョンへと向かった。


〈数分後〉


ユキとミユキは、ユウマから指定された、第二十階層の建物に着いた。中に入り、ドアを開けると、既に第一位のユウマはもちろん、第三位のサオリも到着していた。ミユキは呼ばれていない為、廊下で待っていることにした。


「ごめん、お待たせ」


「大丈夫よユキちゃん、私も今着いた所だったから」


「ありがとう、サオリちゃん。それにユウマも、久しぶりだね」


「そうだな、久しぶりだな、ユキ」


二人に話し終えたユキは、二人がいるテーブルにつき、イスに座った。


「さて、揃ったか」


「それでユウマ、話があるんだよね?どうしたの?」


「今回集まってもらったのは、上層部からある指令が届いたからだ」


「指令ですか、一体どんな内容なんですか?」


「それは、ある人物を見つけだし、そいつを殺せ、という指令だ」


「それは、物騒ですね。しかも、わざわざ私達を集めてまで」


「ユウマ、そのある人物って?」


「あぁ、それは、この男だ」


ユウマは二人に、ある一人の男の画像を見せた。


「っ!?」


ユキはその人物の画像を見て、驚いた。なぜならその人物とは、アスタの事だったからだ。

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