第一章 Part2

「世界の秘密?フェイは一体何を書いて、いや、調べていたんだ?」


アスタは紙に書いてあることの意味が、今はまだ分からずにいた。そしてその紙には、この世界の事について、知るなら、荒くれ者達が多いとされる、第十七層に、と書いてあった。


アスタが今いる第一階層より、かなり上の階層だった。アスタは世界の秘密についても気になるが、それよりフェイが陰で調べていた事に驚きがあった。


アスタは、フェイが調べていた、世界の秘密を知る為に、第十七階層へ行くことを決意した。


一方その頃、仕事を終えたユキが自分の家へと帰っていた。家に帰ると、ユキの妹であるミユキがお出迎えしてくれていた。


「おかえり、お姉ちゃん」


「うん、ただいま、ミユキ」


「今日もお疲れ様」


「ありがとう」


そんな会話をしながら、二人は食卓にいき、楽しい会話をしていた。


「うわー、美味しそう」


「ふふ、冷めないうちに食べて」


「うん!いただきます。…うん!美味しい!」


「お姉ちゃんが喜んでくれて良かった」


「いつもありがとね、ミユキ」


「どうしたの?急に」


「いや、感謝を伝えたかったから」


「?」


食事を終え、ベットにつくと、ユキはミユキに、今日あった出来事を話した。


「どうかしたの?お姉ちゃん」


「うん、実は、今日の調査中に一人、救えなかった人がいてね」


「え!?…そんな事があったんだね」


「うん。それでスゴく悲しい思いをさせちゃって」


「…やっぱり、その人の事が心配?」


「うん、そうだね。あの場では大丈夫そうにしていたけど、結構無理をしてたと思うから」


「じゃあ、これからその人の事、どうするの?」


「そうだね、たまにダンジョンで見かけたら声を掛けよっかな」


「そっか、でも、その人の名前、お姉ちゃん知ってるの?」


「あ・・・」


「やっぱり、名前ぐらい聞かないと」


「えへへ」


「もうお姉ちゃんたら」


「今度会った時に、聞いてみようかな」


「うん、それがいいね」


その頃アスタは。


「へっくしょん!ん?なんだくしゃみか。さて、十七階層に行きますか」


アスタはフェイの日記帳に挟まっていた紙に書いてあった、第十七階層に行く為に、テレポート盤へと向かっていた。


「それにしても、十七階層に何があるんだ?」


アスタは疑問を抱きつつ、テレポート盤へと着いた。


「着いた。ここを押して、十七階層へ」


アスタがそう言い、テレポート盤のボタンを押すと、テレポート盤が起動し、アスタは一瞬で、第一階層から第十七階層へと移動した。


「ここが十七階層か、あんまり考えたりしたことはないけど、最初の方はあまり荒れてないな。(でも先に進んでいくと、やっぱり荒れてるのかな?)」


アスタはそんな事を考えていたが、フェイが残した意志を繋いでいく為に、気持ちを切り替える。


「いや、そんな事より、フェイの紙に書いてあったことに集中しよう、うん」


そう自分に言い聞かせ、アスタは先へと進んだ。


「そういや、紙に十七階層の洞窟って書いてあったな。洞窟に何があるんだ?」


そう言ってる間に、アスタは洞窟へと着いた。


「ここか」


アスタは洞窟の中へと足を踏み入れる。辺りは真っ暗で、岩や石が多い中、アスタは光の魔法で辺りを照らした。


そうすることによって、真っ暗な洞窟の中でもしっかりと辺りを確認できた。奥へと進んでいくアスタ、進んでいくと、岩などが材料でできた家のような場所に辿り着いた。


「ここは…」


そういいながらも、家のような所に入ろうとすると、入ろうとした時、パスワードを入力せよ、そう表示された。


「パスワード?あ、確か紙に書いてあったな」


アスタは日記帳を取り出し、そこに挟まっていた紙を確認した。すると、パスワードに一七一と書いてあった。アスタはそれを確認し、一七一と入力する。そうすると、閉まっていた扉が開き、中へ入ることができた。中に入ると、一人の男が座っていた。


「あ、フェイ君、やっと来、!?誰だ君は!」


「あ、えーと、俺の名前はアスタです」


「アスタ?、!?、君がアスタ君か!」


「はい、そうですけど、アナタは一体」


「あ、あぁ、申し遅れたね。僕の名前はイナイだ、よろしく、アスタ君」


「はい、こちらこそ」


「さっきはすまなかったね。てっきりフェイ君が来たと思ってね。そう言えば、一緒じゃないのかい?」


そう言うとイナイは、アスタをもてなそうと、コップを出す。


「あ……フェイは。俺の親友は、殺されました」


「え…」


イナイはもてなそうと用意していたコップを、フェイが死んだというアスタの言葉を聞き、コップを落としてしまう。


「そんな…フェイ君が、殺、殺されたなんて」


「はい、アイツは巨大なモンスターに…くっ」


アスタは親友を救えなかった自分を悔いて、拳を強く握った。だが、親友の意志を繋いでいくと決めていたアスタは


「でも、フェイの残してくれた意志は、まだ生きてます、死んではいません」


「アスタ君」


「だから、教えてください。この世界の秘密を。アナタとフェイが、やろうとしていたことを」


「あ、ああ、教えよう。この世界の真実を」


そう言うとイナイは、この世界の秘密を話し始めた。

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