5:アリア先生との会議
「すごい……! ここが執務室……! やはり大きい城なだけあって豪華でかっこいいです!」
「そ、そうかな……ささ、座ってよ。お茶も出せないけどさ」
「大丈夫ですよ。
昇る際に数えたところ、この部屋は城の百階くらいにあることが分かった。空気が薄いとか、昇るの疲れるとかそんなのは関係ない。アウレリアも言った通り
なぜ執務室に連れてきたかと言えば、やはりここを紹介したかったのと、ここが落ち着くからだ。
「さてアウレリア。この世界について色々教えてくれないか? あのクソ女神からは『実際に見て感じるものがあるかもしれない』とか言ってほとんど何も知らされずここに放り込まれたからな」
「その前に! です! なんで陛下は女神とお会いしてるんですか? この世界じゃアザノヴァ様は創世の女神として大半の人が崇めてるんですよ? そこから説明してください!」
確かにそうか……どれだけ性格が悪かろうと、神として君臨してるんだよな、あいつ。
しかし……前世の事なども言うのは少しためらわれる。仲良く接してるとはいえ本当に信用して良いのか、と。だが彼女は既に俺の唯一の配下。支配しているが故に言う事はなんでも聞くだろう。ならば――
「俺は……どうやら前世で死んだらしい。理由も含め全てが不明だ。だが死ぬ瞬間に、『生きたい』と願ってしまったらしい。そしたらあのクソ女神が目の前にいてな。そこで伝えられたのが『不死者の皇帝としてこの世界を征服しろ』って事だった。どうやら神々はこの世界が腐ってるから見放したんだとよ」
思い出すだけで腹が立つし、呆れてくる。
首をソファの後ろに放り出し話を続ける。
「能力の説明だとか、この場所についてちょっとばかし説明されて『はいサヨウナラ』って感じでここに転移してきたんだよ。しかもニ週間以内に達成しないと不浄の者だから地獄で永遠に焼かれるんだとよ。それを転生する瞬間に言い放つもんだから文句の一言も言えてねぇ!」
怒りのあまり声を荒らげ言い放つ。
ついでに空に向けて中指を立ててやった。あいつはどうせ天界だか神界だか高いとこにいるだろうから。見下ろすの好きそうだし。
「お聞かせいただきありがとうございます……。まさか女神様が――いえ、クソ女神がそんな事をしていたとは……。私もある程度信仰していた身としては残念に思うばかりです……」
「まぁもうしょうがないものはしょうがないさ。それに君に出会えたし。女神に感謝はしないけどな!」
「ふふっ、そうですね。私も陛下にお会い出来たのは嬉しいです。トムアトに感謝はしませんけど」
くっ……なんか恥ずかしくなってきた。話題を戻さねば。
「閑話休題。色々教えてくれ」
「はい。大陸には三つほど国があります。南部の国、ヒシズ王国。北部の国、シトルイン王国。その両方に挟まれているものの、最強の国であるグノア帝国です」
机に置いてあった羊皮紙に、アウレリアはサラサラと地図を書き始めた。その姿はさながら学校の先生って感じだ。
「ヒシズは帝国でも評判が悪いです。しかし暖かく、豊かな土地であるがために様々なものを輸入しています。なので帝国も強く出られません。シトルインはそこまでではなく、寒い土地であるために帝国以上に弱い立場に置かれていますが、軍が帝国以上に強い為均衡を保っている状況です。帝国は工業が特に発達しており、皇帝も圧倒的な権力と財力を有しています。軍隊も中々強く、噂では女神の臣下を使役しているのだとか」
そこまで話し終えた彼女は、ペンを置き満足げな顔をした。
「ありがとう。それじゃあ俺の侵攻作戦について――」
会議はそこから数時間続いたのであった。
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