第7話 可愛い彼女は俺を照れさせる方法を心得ていました。
三月八日俺は二ヶ月前に優月と一緒に行った初詣について話していた。
「そう言えば優月は何お願いしてたの?」
「あの時言ってくれなかったけど」
『実はあの時とある大好きな大好きな幼馴染みと付き合えますようにってお願いしたかな』
俺は優月を照れさせようと思い言った。
「そうなのか、なら叶って良かったな」
『うん!ずっと好きだった人と恋人になれたんだからね!』
『大好き!これからもよろしくね!』
急にそんなことを言われ俺が照れていると優月は煽り口調で言ってきた。
『もしかして、急にそんなことを言われて照れてるの?』
おかしい、優月のことを照れさせようとしていたのに俺が照れている……。
『君自信はどう?私のこと好き?』
「嗚呼……」
『ありがとう!』
そんな会話を繰り返していると学校に着いた。
すると遠くから聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
『せんぱ~い!』
美香がこっちに向かって走ってきていたのだ。
『ごめんなさ~い!』
「え?」
『私の告白誰かに見られていたようで先輩を悪い気持ちにさせちゃってごめんなさい!』
俺が口を開こうとすると優月が先に口を開いた。
『君が例の美香ちゃんね私はこの人の「彼女」の優月って言うのよろしくね』
何故だろう顔は笑っているのに声には圧が含まれている。
特に「彼女」の部分は強調されていた。
俺は人生で初めて優月を怖いと思ってしまった。
次は美香が口を開いた。
『あなたが先輩の彼女さんなんですね』
『流石の美しさです』
『優月先輩に美しさでは敵わないですが可愛さでは私も負けてないですからね!』
『私まだ先輩のこと諦めてませんから!』
続けて対抗するように優月が言った。
『残念だけど私の格好良い彼氏は既に私に「大好き」ってついさっき言ったんだからね!』
さらに対抗するように美香は言った。
『先輩は委員会中よく私に優しくしてくれてたんですからね!』
『重い荷物持ってくれたり私が困っていると優しく声かけてくれてましたし!』
『だったら私だって授業で分からない所があったら休日教えてくれたり体調が悪い時は家まで来て心配してくれるし!』
俺はこれ以上二人の言い争いが燃え上がらないように言った。
それにこんなことを多くの生徒の前でやられては俺の精神が持たない。
「昨日のことはもう解決したから今はあんまり気にしてないよ」
美香が笑顔になって言った。
『なら良かったです!』
俺が笑顔で返すと美香は俺の耳元で言った。
『私本当に先輩が私のこと好きに絶対させますから』
美香は口を耳元から遠ざけ『それでは』と言い、校舎に向かった。
優月が怖い声色で言ってきた。
『ねぇ、顔が赤くなっているけど何言われたの』
俺は怯えながら言った。
「俺が美香のこと好きなるように努力するだって」
『嗚呼そう、そんなことにならないよね?』
「嗚呼、だ、大丈夫だよ」
朝からこの先が思いやられる気分になった。
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