第3話 彼女の私服は俺に今まで体験したことのない程の衝撃を与えました。

 三月五日俺は初めてデートをする。

 

 『お待たせ~』

 

 『ごめん少し遅れちゃった』

 

 俺は既に用意していた完璧な回答「全然待ってないよ。俺も今来たとこ」を言おうと優月の方をみた瞬間。


 俺の口からは何も出てこなかった。


 彼氏として見た、数年ぶりの好きな人の私服姿は俺に強い衝撃を与えた。


 『口、そんなにあんぐり開けちゃってどうしたの?』


 『もしかしてこの服似合ってなかった?』


 『だとしたらごめん。これで我慢って訳にはいかない…かな?』


 「ちょっと待ってくれ、勝手に話を進めないでくれ今、最適な言葉を考えている」


 「……………」


 『?』


 「よし、思い付いた」


 「最高に可愛いから安心して欲しい。優月の隣に彼氏として立ててとても嬉しいよ」


 『ほんと!?ありがとう!』


 『私もこんなにかっこいい彼氏の隣に立てて嬉しいよ!』


 こいつは俺にどんだけ可愛さと言うダメージを与えれば気が済むんだ……。


 



『それじゃあ行こうか!』


 俺は頷き二人で水族館を歩いた。

 

 俺は終始、隣にいる優月の顔しか目に入らなかった。


 そんな中、俺はここ数年で一番勇気を出した行動をとった。


 手を握ったのだ。


 とても緊張した。


 しかしその緊張も握った瞬間の優月の笑みを見た瞬間に全て無くなった。


 そのまま俺たちは水族館を出た。



 

 優月を家まで送り届けると優月は言った。


 『またデートしようね!』


 俺は少し照れながらだが快く返事をした。 


 俺は家に帰り今日、勇気を出して手を握ったことによって少しは優月の可愛さにも慣れたかなと一人で反省会をしてしばらく浮かれていた。


 こんな形で俺の初めてのデートは幕を閉じた。


 

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