第2話 初めての彼女はいつも見ている時よりも可愛く見えました。

 三月二日俺は初めて彼女がいる朝を向かえた。

 

 優月といつも待ち合わせている場所に向かうと優月は既にいた。

 

 「おはよ…」

 

 『うん…おはよ…』

 

 『それじゃ行こうか…』

 

 いつも見ていたはずなのに何故だろう、無意識に今まで以上に優月のことが気になってしまう。

 

 これが彼女という存在の大きさなのだろうか。

 

 ってか彼女ってどうやって接するのが正解なんだ!?

 

 なにもわからない。

 

 気まず過ぎる。

 

 そう考え込んでいる中、先に口を開いたのは優月の方だった。

 

 『もう気まずい空気は終わり!』

 

 『いつもみたいに楽しく話そっ!』

 

 「そうは言っても何を話せば良いのか分からなくて…」

 

 『それなら今度デート行こうよ!』

 

 『どこか行きたい場所とかある?』

 

 「そうだな〜」

 

 どんどんと話は弾んで行き、いつもの空気に戻った。

 

 そしてデート先は定番の水族館に決まった。

 

 


 何故だろう朝からだが優月の何気ない行動の一つ一つが可愛く見える。

 

 今までも可愛いと思っていたがこんなにも可愛かったかと思うほどだった。

 



 下校中どうしても気になってしまい、しばらく優月の顔を見つめてしまっていた。

 

 『どうしたんだいそこの彼氏君?』

 

 「いやっそのっいやっ何でもないよ」

 

 急に自分の彼女に下から覗き込まれた上にいざ彼氏なんて言われて焦らない男はいない。

 

 『そんな慌てないで』

 

 『私の方ずっと見つめてどうしたの?私の顔に何か付いてた?』

 

 「可愛かったから」なんて言葉は俺の口からは出なかった。

 

 俺たちはそのまま家に帰った。





  俺は自分のベットに横たわり思った。

 

 なんであそこで「可愛い」って言葉が出ないんだよ…。

 

 だからと言って改めて言うのも恥ずかし過ぎるし…。

 

 これを一時間も繰り返していたことを後に驚いた。




 三月三日、今日は後から来た優月に俺は言った。


  いや言ってしまった。

 

 「今日も可愛いな」

 

 『えっ!急にどうしたの!?』

 

 『ビックリしちゃったじゃんか〜』

 

 『そんなこと言われたら流石に照れるよ…』

 

 『まあ…ありがとう…』

 

 『そっちだって今日もかっこいいよ…』

 



 俺はもう今日死んでも悔いは無いなと思った。

  

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