鴉 67
家に帰って荷物をさばいて、天狗は仕事あるから寝るって部屋に戻った。
さばいた荷物。川で遊びまくった光と天狗のびしょ濡れの服を洗濯しようか悩んでやめた。
俺は川遊びはしてないけど、特に何かやったんでもないけど、ちょっと疲れた。コーヒーでも飲もう。
洗濯は明日でもいいだろ。
光も飲むか?って聞こうとして、廊下の窓のところに座ってるのが見えて、聞くのをやめた。
小さいのに囲まれて座る小さい光。背中。
カフェオレをいれてやろう。甘いやつ。
何となくだけど。
光をあのふたりに合わせたのは、良かったような気がする。
今日のことが、雪也と夕の存在が、きっと光の、何かになるんだ。
何となくだけど、そう思った。
「………」
何か考えてるように見えたし、川遊びもしたし、1日テンションが高かったから疲れてるだろうって、夕飯準備の手伝いはいいって言った。
それはいい。
いいんだけど。
甘いカフェオレのマグカップを渡して、その後俺は夕飯の準備をした。
で、できたから呼びに来た。そしたら。
光。
ちょっと笑った。笑えた。
光は小さいって言うと怒るけど、やっぱ小さい。小さいだろ。
廊下。
光は座ったまま、こくんこくんかくんかくん寝てた。
まあ、疲れたよな。
あれだけ川でばっしゃんばっしゃんやってて、魚必死で追いかけて、雪也の後をついて回って、いっぱい喋って笑って。
ひとつ目が、こくんこくんかくんかくんする光を、ちょっと困ったみたいに見上げてた。
気狐とカラスも寝てるっぽい。
ご飯、どうするか。
昼の食べ始めが少し遅かったし、いっぱい食べたし、俺はあんまり動いてないしで、正直俺はそこまで食べたいという状態じゃない。
こくんこくん。
かくんかくん。
座ったまま、器用に。
ひとつ目の癒し効果もあるんだろうな。
ひとつ目が一緒だとびっくりするぐらい寝れるから。
………え、起きるよな?これ布団に運んだら、朝まで起きないとか言わないよな?
布団、は、その危険性があるか。
さすがにそれはな。ご飯と歯磨きと風呂やって欲しい。
抱えて起きたらご飯。
起きなければ居間で30分ぐらい寝かせてやるか。
俺は座りながら器用に寝る光を抱き上げた。
「向こうに寝かせる。窓閉められるか?」
こくんって頷くひとつ目に窓は任せて、カラスと気狐を踏まないよう、光を居間に運んだ。
光は起きなかった。
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