鴉 57

 ずだだだだだだっ………






 ずどどどどどどっ………






 って音で目が覚めた。






 その合間に、ざああああああっ………て、雨の音。



 薄暗い部屋。






 時計を見たら、まだ5時だった。






 ずだだだだだだっ………






 ずどどどどどどっ………






 天狗、ではない。



 天狗は朝っぱらからこんな音はさせない。



 ってことは光。しか居ない。



 いや、気狐も居るけど、気狐はいつも光にくっついてて、こんな音をさせることはない。



 ってことで光。しか居ない。






 はず、だけど。






 ずだだだだだだっ………






 何の音?って、布団から出て部屋を出て、音の方に耳を澄ませた。









「………あ、鴉。おはよう」

「………」

「ん?」

「………あ、お、はよう」






 音の犯人はやっぱり光だった。



 そして音の正体は。






 何でなのか、『雑巾掛け』だった。






 光が何故か、光が寝てる和室、台所前、玄関に続く廊下を雑巾掛けしていた。






 え、いや、あるじゃん。クイック◯ワイパー。



 何でわざわざ雑巾掛け?






 床に雑巾を置いてその上に手を置いて四つん這い。



 そこからまるでよーいどん、みたいに腰を上げてダッシュ。






 だからさ。あるじゃん。



 楽に廊下掃除できるやつ。光も知ってるだろ。いつもやってるんだから。






 何で?






 って見てたら光のおはように気づかなくて不思議そうに見られた。






 廊下の端にはバケツ。



 これはなかなか本格的な『雑巾掛け』。






 台所の入り口では、気狐が座って光を見てた。






「ぐっもーにん、鴉〜」






 台所。ダイニングテーブルのとこで、天狗がチャラチャラと、なのにじいさんっぽくお茶を飲んでた。






 ここ最近イチ、変な光景だった。

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