記憶~失われた10年間~

つぶみかん

第一章 日常


全てはあの日から始まった。

2012年の春、俺は高校2年生だった。

学校生活はそれなりに楽しかった。


朝ベットから目覚め階段を降りリビングを覗くと、


そこには台所に立ち朝食を作っている母と、椅子に座りながら新聞を眺めている


父の姿があった。俺はパジャマ姿のまま父の隣に座り、朝の挨拶をした。


『父さんおはよう。』『おはよう俊也。』朝の何気ない会話。でも俺は


なんとなくこの朝の挨拶が俺の平凡な日々の中でのちょっとした楽しみだった。


そうこうしているうちに朝食が出来上がった。母『おはよう俊也。早く朝食食べちゃいなさい。』っと母がせかした。俺は特に気にするそぶりも見せずに朝食を食べた。


そして朝食を食べ終わり、俺は自室に戻り制服に着替えた。平凡な日常、何の変哲もない


毎日。俺は着替えながらふと思った。『俺はこれからも何の変哲もない平和な毎日を過ごして


いくのかな』っと。俺はこの何気ない日々がなんとなく好きだし、不満もなかった。


これからも俺は生涯ずっとこの何気ない日々を生きていくんだろうっと俺は信じて疑わなかった。そうぼんやりと考えていると、1階から母の声が聞こえた。『俊也!いつまで着替えてるの!早くしないと学校に遅刻するわよ~!』そう言われ近くにあった時計を眺めると、


時計の針は遅刻寸前の時刻を指していた。それを見た瞬間俺は一気に全身から血の気が引いていくのを感じた。『うわっ!やっば!早くしねーと!俺はそう言いながら慌てて部屋を飛び出した。『何でもっと早く教えてくれなかったんだよ!』俺はそう母に嘆いた。すると母は


『何度も教えたわよ~。あんたが一向に返事もせずにのんびりと着替えてるからでしょ。』


母にそう言われながら急いで顔を洗い、歯を磨き、そしてトイレで用を足した。


急いで靴を履き家を出ようとしたその時、『待って~俊也』っと家を出ようとした


寸前で呼び止められた。『なんだよ。母さん』言うと母は『はいこれ。お弁当箱』


っと弁当箱を渡された。そして俺が家を出ると同時に、母が『今日も学校頑張りなさいよ』


俺はその言葉を聞きながら家を出た。

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