第6話 スライム戦
どれくらい魔力が備わっているかは分からない。
女神アティナが言うには、魔法を使えば使う程、魔力は高まるらしい。
要はスポーツと同じだ。
スポーツなら基礎体力強化、反復練習、そして試合。
「早く、妹に会いたい」
そう思った蒼は、こう思った。
「モンスターと戦おう!」
モンスターと戦うことで、基礎体力強化、反復練習、そして試合を一気にこなし効率よくパワーアップしたい。
そして、魔王とやらを倒して、さっさとこの世界からおさらばだ!
そして、本棚にある『モンスター図鑑 入門編』を手に取る。
「どれどれ、まずはどれから倒すかな……」
まず、一ページに書いてあるモンスターから倒す。
『スライム』
体長50cmから1mまで。
個体により異なる。
ぷよぷよした柔らかい身体。
攻撃方法としては、飛びついて口を塞ごうしたり、身動きを取れない様にしてくる。
恐らくフィオナで最弱のモンスター。
「まずは、スライムからだな。ドラクエだってスライムを倒すところからスタートするし」
蒼は気合を入れ、外へと飛び出す。
頼れるのは己の身体と、授けられた水魔法。
◆
拠点を出ること数分。
「いた……」
蒼の目の前には、ぶよぶよとした水まんじゅうみたいな透き通った物体。
まるでクッションの様な形状。
まさしく、図鑑で見たスライム!
ぶよん!
スライムもこちらに気付いていたらしい。
身体を撥ねさせ、蒼に向かって来る。
「ウオーターガン!」
蒼は飛び掛かろうとするスライムに手をかざし、詠唱する。
ビビッて動きを止めるスライム。
ぴゅる。
「あ……」
まるで、老人の小便の様な勢いのない水鉄砲が放物線を描いて、スライムの目の前に落ちる。
それは虚しく、草を濡らすだけだった。
「ありゃりゃ。まだまだだな」
やっぱ、もうちょっと自主練しとくべきだったか。
がっかりする蒼。
そして、容赦ないスライム。
ぶよ~ん!
飛び掛かって来る。
「うりゃ!」
蒼は側に置いてあった木の枝を思いっきり横薙ぎにスイングした。
べちょ!
真っ二つになり気にぶつかって飛び散るスライム。
どうやら倒したようだ。
「あはは……力技で倒しちゃったよ。これじゃ、ダメだよな」
苦笑する蒼。
「次はちゃんと水魔法で倒さなきゃ」
兎に角、魔法を出力し続け、強化していくことが大事なんだ。
そう言い行かせ、森の中を走りながら、ウオーターガンを放ちまくる。
自身の体力も付くし、魔力も強化できる。
一石二鳥だ。
「おっ!」
目の前に現れたのは、鋭い牙をした猪。
「確か、『ワイルドボア』だったかな……」
やばい。
スライムよりもだいぶ格上の相手だ。
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