第6話 スライム戦

どれくらい魔力が備わっているかは分からない。

女神アティナが言うには、魔法を使えば使う程、魔力は高まるらしい。

要はスポーツと同じだ。

スポーツなら基礎体力強化、反復練習、そして試合。


「早く、妹に会いたい」


そう思った蒼は、こう思った。


「モンスターと戦おう!」


モンスターと戦うことで、基礎体力強化、反復練習、そして試合を一気にこなし効率よくパワーアップしたい。

そして、魔王とやらを倒して、さっさとこの世界からおさらばだ!


そして、本棚にある『モンスター図鑑 入門編』を手に取る。


「どれどれ、まずはどれから倒すかな……」


まず、一ページに書いてあるモンスターから倒す。


『スライム』


 体長50cmから1mまで。

 個体により異なる。

 ぷよぷよした柔らかい身体。

 攻撃方法としては、飛びついて口を塞ごうしたり、身動きを取れない様にしてくる。

 恐らくフィオナで最弱のモンスター。


「まずは、スライムからだな。ドラクエだってスライムを倒すところからスタートするし」


蒼は気合を入れ、外へと飛び出す。


頼れるのは己の身体と、授けられた水魔法。



拠点を出ること数分。


「いた……」


蒼の目の前には、ぶよぶよとした水まんじゅうみたいな透き通った物体。

まるでクッションの様な形状。

まさしく、図鑑で見たスライム!


ぶよん!


スライムもこちらに気付いていたらしい。

身体を撥ねさせ、蒼に向かって来る。


「ウオーターガン!」


蒼は飛び掛かろうとするスライムに手をかざし、詠唱する。

ビビッて動きを止めるスライム。


ぴゅる。


「あ……」


まるで、老人の小便の様な勢いのない水鉄砲が放物線を描いて、スライムの目の前に落ちる。

それは虚しく、草を濡らすだけだった。


「ありゃりゃ。まだまだだな」


やっぱ、もうちょっと自主練しとくべきだったか。

がっかりする蒼。

そして、容赦ないスライム。


ぶよ~ん!

 

飛び掛かって来る。


「うりゃ!」


蒼は側に置いてあった木の枝を思いっきり横薙ぎにスイングした。


べちょ!


真っ二つになり気にぶつかって飛び散るスライム。

どうやら倒したようだ。


「あはは……力技で倒しちゃったよ。これじゃ、ダメだよな」


苦笑する蒼。


「次はちゃんと水魔法で倒さなきゃ」


兎に角、魔法を出力し続け、強化していくことが大事なんだ。

そう言い行かせ、森の中を走りながら、ウオーターガンを放ちまくる。

自身の体力も付くし、魔力も強化できる。

一石二鳥だ。


「おっ!」


目の前に現れたのは、鋭い牙をした猪。


「確か、『ワイルドボア』だったかな……」


やばい。

スライムよりもだいぶ格上の相手だ。

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