第3話 転生します!
「なんでしょう?」
「このフィオナに、魔王が復活しました」
「魔王?」
「はい。この世界の脅威です。それを倒すことが出来るのは、この世界の勇者のみです」
「はぁ」
「あなたには、その勇者となって貰いたいのです」
「え? 僕が?」
蒼は戸惑った。
何だか異世界転生ものらしくなってきたと期待が膨らむ反面、自分なんかが魔王討伐なんかできるのか不安になる。
「……ということは、魔王を倒せば元の世界に戻れると」
「はい」
やらしかない。
美麗のために。
自分にそう言い聞かせる。
「分かりました。やります」
「そう言ってくれると思いました。早速ですが、あなたにスキルを与えます」
おお、定番の展開。
転生者は特別なスキルを授かるって言うあの設定。
だから、転生者は魔王討伐を任せられるんだ。
アティナが手を振ると蒼の前に水色の玉が現れた。
「これは?」
「おお、水属性の魔法を使えるスキルです」
「へぇ~」
アティナが驚いているのを見ると、そのスキルが相当良いものだと分かる。
そして、スキルにはガチャの要素があるみたいで、アティナでは選べないみたいだ。
「さぁ、受け取ってください。水属性の魔法スキル」
「あ、待って下さい」
「え?」
蒼の身体が水色の玉に包まれる。
「こ、これ……どうやって使うんですか?」
「端的に言えば、魔力は使えば使う程上昇し、上達して行きます。恐れずどんどん使用することをお奨めします」
おお、やはり転生もの。
蒼はこの水属性の魔法をバシバシ使ってチートできるまでになりたいと思った。
「では、そろそろ転生させます」
「あ、ちょっと待ってください」
蒼はまだまだ確認したいことがある。
フィオナのどこに転生するのか?
強力なモンスターだらけの場所に転生したら即死だ。
出来れば田舎に転生したい。
あと、誰に転生するのか?
主人公的な奴にいきなり殺されるモブだと最悪だ。
「申し訳ありません。もう時間が無いのです。私達の神力ではここまでが限界」
アティナが眉根を寄せる。
申し訳なさそうだ。
スマホを解約する時に対応してくれた受付のお姉さんみたいな顔だ。
「一日に一度、蒼さんに天の声を授けることが出来ます。そのタイミングでお話しできますので」
あ、はい……。
何か、節約しながら楽しむアイドルとのライブチャットみたいだな。
まぁ、神力というやつの上限が限られていてそこがネックになる世界なのだろう。
「分かりました」
蒼は期待と不安を胸に、異世界、フィオナに転生した。
◆
目が覚めると、そこは森の中だった。
蒼はまず、自分の姿を確認する。
鏡が無いので、手と足そして身体。
見覚え有るな……。
まず来ている服が学ランっぽいぞ。
(あ、湖)
目の前にある水面に自分の姿を映す。
「僕だ……」
転生しても蒼は蒼のままだった。
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