第199話 永遠の誓い

「ありがとうございます」

「うむ。して、どんな願い事じゃ」

「はい」


 太郎は神様の正面に立っていたんですが、少し動いて元通りの場所に移動すると、梅さんの手を取り直しました。


「僕と梅さんは祝言を挙げるところだったんです。祝言というのは、神様にずっと仲良くやっていきますので、夫婦として認めてください、と誓いを立てることだと思うんですが、違いますか?」

「いや、違ってはおらんぞ」

「そうですよね。せっかくこうして本物の神様が来てくださったんですから、僕たちの誓いを見届けてほしいんです」

「なんじゃ、そんなことか」


 神様は心底心底本当に本心からホッとして、同時に太郎の欲のない言葉をうれしく思いました。


「そういうのは神様の本業じゃからの、なんぼでも見届けてやるぞ」

「ありがとございます」

 

 太郎はうれしそうにお礼を言うと、もう一度梅さんを見てニッコリと笑いました。


「では祝言の続きを」

「はい」


 そうして、やらし屋の媒酌の元、本物の神様に向かって2人は永遠の愛を誓い、三々九度の盃を交わしました。


「よしよし、これでたった今から2人は夫婦じゃ、末永く、仲良く、幸せにな」

「はい」

「はい」


 太郎と梅さんは本物の神様に夫婦と認めてもらいました。


「おめでとう~さあて、それじゃあ、みんな、歌って踊って、祝おうぞ~えぇ~」


 あまてらす様の一声で、後はもうやんややんや、飲めや歌えの大騒ぎ。


「さあさ、神様もご一緒にぃ~」

「いや、これはすまんな」


 神様はあまてらす様のお酌でぐいっと盃を開けて上機嫌。


「若返りはちょ~っとだけ惜しかったですけど、太郎が幸せになってよかった」

「おばあさん……」


 そんな声もちょろっと聞こえては来ましたが、全員が心から太郎と梅さんを祝って宴はいつまでも続きました。

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