第191話 リインカーネーション

「え?」


 太郎は意味が分からず怒りモードから困惑モードへ。


「じゃからな、転生てんせいしてみるか、と言っとるんじゃ」

「てんせい、って、あの、いわゆる輪廻転生りんねてんしょうのことですか?」


 太郎の言う「輪廻転生」とは、今、おそらく主に仏教で知られているだろう考え方で、人間は今の人生を終えると次にまた生まれ変わるというものです。今の人生での行いで次に生まれ変わる世界が決まると言われています。

 悪いことをしたら今の人間より下の段階、一番下は地獄という世界に落とされますし、良いことをしたら一番上、ラッキー天上界! てな感じです。もちろん普通の人間に生まれ変わることもありますし、人間以外の動物なんかに生まれ変わることもあるそうです。


 元は古代インドのバラモンの教えにあるようですが、どうもそこでは一度下に落ちたらもう上に上がれない、人間から虫になったらもう永遠に虫、てな話だったので、下層カーストで、


「じゃあ俺らずっと下層階級で上の貴族やバラモンには永遠になれないじゃん、てか、下手したらずっと虫じゃん……」


 と、絶望した人たちに、


「いやいや、良いことをしたら天上界にも行けるよ、その代わりに悪いことしたら地獄に行くこともあるから、良いことをしようね」


 と、教えて救ったのがお釈迦様だとかなんだとか。


 ということで、いきなり「転生」と言われても太郎には「こっちのやつ?」としか浮かびませんでした。


「いやいや、違う違う、はやっとるじゃろ、今?」

「何がです?」

「いや、転生」

「いえ……」

「そんなことあるまい、ほれ、こんな市で売ってるような本でもあるじゃろ? はやっとるじゃろ、転生?」


 神様はお祝いと祭りに集まった人たちに聞きますが、誰も彼もが横に首を振るばかり。

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